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特集 テーマ  上野原の市民は何を目指すべきか
 研究提案 その1 自家用車乗り合い・乗せ合いプログラム
  第8講 実行プログラムとそのバリエーション
  第7講 ソーシャルネットワーキングサイトの約束ごと
  第6講 『自家用車乗り合い・乗せ合いプログラム』の プロトタイプ
  第5講 『自家用車乗り合い・乗せ合いプログラム』と 『上野原市の光ファーバー事業』
  第4講 『自家用車乗り合い・乗せ合いプログラム』の立案と実行


 
自家用車乗り合い・乗せ合いプログラム
第8講    実行プログラムとそのバリエーション

   

  このシリーズの冒頭に私は「15年前に『郡内』に新設された西東京(現帝京)科学大学『経営工学科』(マネジメントエンジニアリング学科)に着任した」と記しましたが、私は15年の大学勤務の最後の2年を「メディア情報システム学科」に在籍し、「経済・社会」、「産業・企業」、「会社の仕組み」、「職業と社会生活」の講義を全学年・全学科を対象に行うと同時にメディア情報システム学科専門課程3年生の秋からはじまる卒業研究の指導に当たりました。

 その際、私にとって最大の問題は学科に相応しい卒業研究のテーマをどのように設定するかということでした。
熟慮の結果このシリーズで述べてきた『地域通貨で支払う自家用車乗り合い・乗せ合いプログラム』というテーマを設定したところ、4名の学生からこのテーマに取り組みたいという申し出を受けました。

 4名のうちの1人は地元の八木伸人君で「地元の人間として上野原に対してこのような論文を残せたことは光栄である」と書き記してくれています。
『地域通貨』についてはそれまでの卒業研究で取り上げましたので研究対象から外して『乗り合い・乗せ合いのインターネットデーティングサイトの構築』に研究テーマを絞りました。

 私の研究室を志望した4名の学生諸君は3年生の秋の時点でいずれも自分でホームページを立ち上げたことがないということで、果たして研究がうまくまとまるか心配でしたが、1年半後には4名ともそれぞれに工夫を凝らした『インターネットデーティングサイト』を完成させました。

 私は卒業研究を指導する際に4つの領域があると説明しています。


@    自分は知っている・社会も知っている領域、
A   自分は知らないが社会は知っている領域、
B    自分は知っているが社会はまだ知らない領域、
C    自分も知らないが社会もまだ知らない領域の4つです。

 博士論文と修士論文は第Bと第Cの領域を中心とした研究、卒業論文は@〜Aの領域を中心とした研究と思っています。


 卒業研究は次の手順で進められて行きました。
@ まず自分のホームページを作成して、自分のPCをインターネットに接続する、
A Apacheなどのソフトを使って自分のPCをサーバーとする(サーバーとは、コンピューター同士がつながっているネットワーク上で自分以外のPCに対してサービスを提供するPCのこと)、
B Perl(パール)というプログラミング言語を使ってCGI(コモン ゲートウエイ インターフェイス)というプログラムインターフェイスを作成する.
C CGIを使って利用者専用の電子掲示板とドライバー専用の電子掲示板を作成して情報を掲示する、
D インターネットのホームページ上の画面に表示されている電子掲示板に書き込まれた情報をCGIプログラムの中で照合し、その結果を新しい情報として書き込んだ人のインターネットの画面に送り返す、

 概要は以上の通りですが、情報の正確さや使い勝手をよくする上で工夫しなければならない点が色々と出てきました。
そのひとつは氏名・日時・場所・連絡先などをその都度一から書くのは面倒だし、また、入力ミスが起こりやすいというので、あらかじめ書き込まれたものの中から選ぶ方式(プルダウン方式)を採用することでした。高齢者の利用を想定して文字を大きくすることも改善されたポイントでした。


 卒業研究で作り上げた『インターネットデーティングサイト』は試作の域を出ないものでしたが、実際に使用できるプログラム作成の手掛かりは得ることが出来たと考えています。

それよりも実際に『自家用車乗り合い・乗せ合いプログラム』を具体化させようとする場合は、
@ 経営形態を市営・民営・その中間の第3セクターのどれにするか、
A 必要な資金を誰がどれだけ拠出するか、
B 誰が実際の仕事をするか、
C 仕事をする人の給料をどうするかなど詳細な検討が必要です。
 その場合、プロトタイプの項で述べたような『SNS』が基本となると考えていますが、『SNS』の掲示板に書き込まれた情報を必要とするお年寄りにどのように伝えていくか、例えば、病院に通っているAさんのために『SNS』の情報を取捨選択して伝えて、Aさんに代わって『SNS』の掲示板に情報を書き込んであげたりすることも検討しなければなりません。
 これらのことは会社設立の場合になぞらえるならば『設立発起人会』の検討に待たなければならない事柄であります。
これ以降の問題については実際に研究会のスタートを関係各位に呼びかけて実行案作りに取り掛かりたいと思っています。参加を希望される方はご一報下さい。TN

       2007−6−17  谷口ウエノハラ研究室  谷口 文朗

 
自家用車乗り合い・乗せ合いプログラム
第7講 ソーシャルネットワーキングサイトの約束ごと

 
 前回、新らしい製品や新らしいサービスは
@ 全体の仕組み(トータルシステム)とそれを構成する部分(サブシステム)が示され、
A 全体と部分のつながり方が決められるという順序でプロトタイプが生み出されると書きましたが、

 『自家用車乗り合い・乗せ合いプログラム』のトータルシステムは、
@ 「ちょっと自家用車に便乗させて欲しいという」人達(Xさん)が時刻・場所・行き先を書き込む情報掲示板、
A 便乗させてあげようという人達(Yさん)が時刻・場所・行き先を書き込む情報掲示板、
B 両者を照合してXさんの希望にほぼ一致すると見込まれるYさんの情報を選び出してXさんに伝える情報手段、
C XさんがYさんに連絡して、お互いの都合を確認して「便乗させてもらうことを約束」する情報手段を作り出して、XさんとYさんに実行を委ねるシステム(仕組み)が出来ればよいわけです。

  ここではこのような仕組みがうまく行くための必要最低限の約束事について考えて見ます。

  第1は『遠慮は無用』ということです。インターネットを使わないでこのことを実行しようとする場合、

@ 「隣近所のXさんならよく中心市街地に出かけるので便乗を希望する自分のT・P・Oに合うかも知れない」と想像して電話する、
A 「Xさんがいいですよ」と言ってくれる、
B 出合いのT・P・Oを打ち合わせる、
C 約束の日時に約束の場所で便乗させてもらうという手順を辿ることになりますが、
  大抵の人は「そんなあつかましいことは言い出せない」というのが世間常識だと思います。
これに対してインターネットの『SNS』は、「乗せてあげる人はそのつもりで便乗させてあげる日時と場所を便乗させてあげる人専用の掲示板に書いている」、一方、「便乗させてもらう人はそのつもりで便乗を希望する日時と場所を便乗させてもらう人専用の掲示板に書いている」ということになりますから、「便乗させてもらいたいという意思と便乗させてあげるという意思が前事前に示されている」ということなのです。したがって「こんなことを言ったらあつかましいと思われはしないだろうか」という『遠慮は無用』ということになります。


  第2は『掲示板には実名で便乗させてもらいたい・便乗させてあげることを書き込む』ということです。

 インターネットオークションの世界では「商談が成立するまでは双方ともに匿名、商談成立後に実名が現れる」という仕組みになっていますが、大ケヤキシールで感謝の気持を支払う自家用車乗り合い・乗せ合いプログラムの場合は仲間内だけの『サービスの取引』ですから『はじめから実名でのやりとり』が合理的だと考えています。

  第3は『掲示板には的確に書き込み、約束したことはしっかりと守る』ということです。

 便乗させて欲しい・便乗させてあげるという約束の時間と場所に約束した人が現れなかったらこの仕組み(システム)は壊れてしまいます。インターネットオークションの場合は売り手と買い手がお互いに相手を評価し合う仕組みが作られています。そして約束を守る相手を『よい相手』、約束を守らない相手を『よくない相手』と評価して「信用できる人かどうかを点数で表示する」ようになっています。
 自家用車乗り合い・乗せ合いプログラムの場合このような評点を作らないまでも、約束を守ることがこの仕組みの成否を決める要素のひとつであることを記しておきたいと思います。

  第4は『この仕組みは仲間内だけのもので、外部の人達の無断進入を絶対に許さない』ことです。

 私は『絶対に』という言葉はむやみに使う言葉ではないと思っていますが、インターネットの世界は「どこに悪意の人たちが潜んで『振り込め詐欺のような罠』を仕掛けているかわからない世界」ですから、個人情報が丸出しになる『自家用車乗り合い・乗せ合いプログラム』の掲示板を仲間でない外部の人が勝手に見たり、書き込んだり出来ないようにしておくことがどうしても必要です。

 この『SNS』を運営する責任者はここのところを抜かりのないように万全の目配りしなければなりませんが、『SNS』を利用する私たちは「SNSは河岸段丘のデメリットをメリットに変える上野原の市民の『秘密結社』である」というくらいのガードの固さが求められます。 仲間以外の人々が参加を希望する場合は仲間の紹介を得て参加を希望すればよいわけですから。

  第5は『SNSに参加する人同士では機会均等』ということです。

 『機会均等』とは『みんなが平等』さらに言えば『差別がない』ということです。
そのために『SNS』という仕組みが必要なのです。
 「便乗させてもらいたい・便乗させてあげる」ということだけならば隣近所の人同士で電話で十分事足りるということになりますが、機会均等という考え方から大切なことはすべての上野原の市民に上野原のデメリットをメリットに変える機会が『均等=平等』に与えられなければならない」ということです。
 「そのためには便乗させてもらいたいという希望が100件、否、5000件出されても混乱することなく次々と乗り合い・乗せ合いの約束が成立して実行に移されるような情報のやり取りの仕組み」が必要で、このような仕組みは「市の光ファイバー事業で構築される情報ネットワークを活用したSNSがどうしても必要」ということになるのです。
 第6は便乗させてもらう人が「感謝の気持ちを地域通貨でどれだけ支払う用意があるか」は前もって記入しない方式がよいことです。理由はこのプログラムは『健常な交通弱者に対するボランティア活動』が根本になっているからです。
 この点は「売り手と買い手の間で『値段が絶対的な決め手』というインターネットオークションと根本的に違う点」ということになります。TN

     2007−6−10  谷口ウエノハラ研究室  谷口 文朗


 
自家用車乗り合い・乗せ合いプログラム
第6講   『自家用車乗り合い・乗せ合いプログラム』の プロトタイプ


 
 私は新しいものごと(新製品・新サービス)が生み出される時には @全体の目的を決めること、A目的を実現するための基本となるアイディアを着想(コンシーブ)すること、Bアイディアを形にしたプロトタイプを作成(デザイン)すること、C量産スペックあるいは実行策を決定(ディベロップ)すること、D生産あるいは実行(プロデュース)すること、E販売あるいは費用を回収(マーケット)することという順序をたどると考えています。

 ここで私がこれまで5回の投稿で述べてきた『自家用車乗り合い・乗せ合いプログラム』の目的とコンセプトを以下に確認します。

@    『自家用車乗り合い・乗せ合いプログラム』の目的=『風の幸』の恵みを受けて、上野原市に住まう人達が穣り豊かに生活すること

A    目的を実現するための基本コンセプト=公共交通を補完する仕組みとして、@]現在の法律の枠組みの中で、A]必要とする時に、B]必要な場所と、C]必要な場面で、D]必要とする人に、E]支払い可能な対価で、F]自家用車に便乗できる機会を提供すること

 コンセプトは英語ですから再び『I.S.E.D.』という英英辞典で確認します。辞書には「アイディア」と書かれていますが、私はテレビタレントが思いつきでおもしろおかしく話すアイディアではなくて、次の「デザイン・ディベロップ・プロデュースにバトンタッチされて行くアイディア」と考えています。
 コンセプトとは、したがって、「目的に賛同し、その達成のためのプロジェクトに人・もの・金を投じる個人またはグループが頭の中に思い描くアイディア」で、
 @まず全体の仕組(トータルシステム)とそれを構成する部分(サブシステム)が示される、
 A全体と部分のつながり方が決められる という順序でプロトタイプが作り出されると考えています。


 コンセプトの「項目@ は現在の法律の枠組みの中で」ということです。この場合は「自家用車に乗せてもらってありがとう」と言って円を支払うと『白タク行為で違法』となるので一工夫が必要になります。
 私は「地域通貨で支払えば違法にならない」ことを小泉内閣構造改革特区に提案して確認しています(財務省D 0730120・国土交通省D 1230580)。

 上野原の中心市街地の商店街では160枚の「大ケヤキシール」が500円に交換される仕組みが定着していますので、自家用車に便乗させてもらって「この大ケヤキシールをありがとうと言って円の代わりに支払うと違反にならない」というのが私の考え方です。

 コンセプトの「項目 E  は支払い可能な対価で」ということですが、「地域通貨は人々の善意に対する感謝の気持ちを表す手段で、定価がない世界」ということでありますので、タクシーに乗る場合と違って、西原から市役所に通勤されるAさんに市立病院まで便乗させてもらった近所のおばあさんが「ケヤキシールを80枚(250円相当)差し上げたいのですが手元に32枚(100円相当)しかありません。それでよろしいでしょうか」といわれたら「いいですよ」という世界なのです。
 「便乗させてあげる方は『ついでがあるという範囲』で乗せてあげているわけですからそれでよい」ということになるのです。
 私が言う『自家用車乗り合い・乗せ合いプログラム』のイメージを持っていただけたでしょうか。

 地域通貨については別の機会にもっと詳しく説明したいと思いますが、ここでは「地域通貨は『感謝の気持ちを表す手段として仲間内だけで使われるお金』で、その主旨に賛同した人々の間でだけやり取りされ、貯め込むと目減りするように仕組まれている通貨」です。

 便乗の際に事故を起こさないことへの万全の配慮が必要なことは言うまでもありませんが、
 @運転者は任意保険にしっかりと加入していること、
 A十分な運転経験があること、
 Bとくに道路の状況と地理に明るいことなどが便乗させてあげる側に望まれる条件といえるでしょう。

コンセプトの「項目A 必要とする時に」、「項目B 必要な場所と」、「項目C 必要な場面で」、「項目D 必要とする人」に という部分を形にする道具は、第4稿で述べたインターネットに構築される『SNS』(ソーシアルネットワーキングサイト)です。『SNS』は「面識のない人々を対象とする出合い系サイト」とは一線を画して、「知人の紹介があってはじめて仲間に入れてもらえる知り合い系サイト」でありますから「目的に賛同した仲間うちだけで利用する地域通貨にうまく適合する仕組み」であります。

『SNS』の具体的イメージはUBCのプログラムを利用している場合は次の通りです。

 @パソコンの場合はキーボードを使って、自宅のテレビの場合はコントローラーを使って『インターネット掲示板』の画面を呼び出す⇒
 A便乗させてもらう日の前日までに、キーボードかコントローラーを使って乗せてあげるという人のインターネット掲示板のページを画面に呼び出して、自分の都合に合う時間と行き先を記している欄にチェックを入れてeメールで申し込む⇒
 B申し込みを受けた人は乗せてあげる場所と時間と自分の車のナンバーと自分の特徴(服の色・帽子メガネ持ち物など)を記入してeメールで返事をする⇒
 C乗せてもらう人は、連絡されてきた場所と時間と自分の目印(服の色・帽子メガネ持ち物など)をeメールまたは電話で返事をする⇒
 D当日を迎え、約束通り便乗させてもらう⇒

 地域通貨で感謝の気持ちを支払うという順序でことが運びます。出かける時の便乗はこれでよいとして、帰りの便乗も同じ手順で予約しておいて便乗させてもらうことが可能です。
 行きと帰りの便乗の待ち時間が長くなる場合は、最寄の公共交通機関を利用するかあるいは市の図書館や市役所の文化ホールで待ち合わせるという順序が想定されます。


 出先では携帯電話での連絡が欠かせない手段になると思われますが、
長野県富士見町では、『お年寄りがこのプログラムに参加し、胸にかけているネームプレートに住所・氏名・電話番号を書いておく』と商店や街の人々が電話の用件を取り次いであげるという仕組みを作っているとのことですが、市の光ファイバーによるインターネットサービスを利用している人同士の場合は、無料のIP電話が使えるわけですからその費用は発生しないということになるでしょう。


 これは『頭の中の論理の世界で描かれるイメージ』ですから、実際に予行演習をして確認しなければなりません。現実はそう簡単ではないからです。
第1次南極越冬隊が極寒の南極のあらゆる悪条件を想定して製造した「雪上車」が南極で動きませんでした。理由は「南極への途上で貨物船が赤道を通過し、その時の船底の高温で部品に不具合が起こったため」でした。私が社会人になって間もないころの出来事です。TN

     2007−5−27  谷口ウエノハラ研究室  谷口 文朗

 
 
自家用車乗り合い・乗せ合いプログラム
第5講   『自家用車乗り合い・乗せ合いプログラム』
『上野原市の光ファーバー事業』


 
昭和11年7月生まれの70歳。55歳の時に着任した帝京科学大学を今年3月末に退任して『谷口ウエノハラ研究室』の立ち上げに明け暮れる毎日を送っている私は「簡単にものを捨てることが出来ない」のです。
 わが家では子どもたちが見ていた1992年製の13インチの見るからに頑丈そうなアナログテレビを見て来ましたが、私も人並みに「BSハイビジョンの番組を見たい」と思ってお皿の形のアンテナとBS受信チューナーだけを買ってきて13インチのアナログテレビでBS放送を見ることにしました。

 NHKの受信料は月1000円ほど多くなりましたが、テレビ全体を買い換えるのに比べるとごくわずかな支出でBS放送が見られるようになりました。地球温暖化とこのようなライフスタイル(生活態度)との関係については機会を改めて考えますが、ここでは『上野原市の光ファーバー事業』の『自家用車乗り合い・乗せ合いプログラム』への意味合いについて考えます。

 結論は、上野原市の光ファーバー事業によって私たちは

 @「上野原の中山間地の一軒家でも『告知端末』という機器を接続することによって今見ているテレビを使ってインターネットの仕組みを日常生活の中に取り入れることができ、
 A上野原の市街地や中山間地を問わず、上野原の市民一人一人が『口頭で意思疎通』が出来たのと同じ隣近所の間柄になることができる、
 Bそれ故に『自家用車乗り合い・乗せ合いプログラム』が実現でき、C『少子化・高齢化対策の決め手であり、最後の一手』を実行に移すことができる」ということであります。


私は市の光ファイバー事業によって開けてくるクオリティー オブ ライフ向上の中味について次のようなイメージを持っています。

@  NHKの受信料にUBCによって提供される(プレミアム)テレビサービスの料金を上乗せすると、自分でアンテナとチューナーをつけなくても今見ているアナログTVでデジタル放送を見ることができる、

A  UBCのテレビサービスにインターネットサービスを加えると、インターネットサービスに加入している人々の間では市内通話がIP電話によって無料になる、

B  福祉・防災・行政・防犯などの行政サービスの質が向上する、

C  衛星画像・ライブカメラ画像(国道20号線や高速道路の混み具合など)を見ることができる、

D   医療・在宅ケアのアドバイスを受けられる、

E  TVにはキーボードは付いていないが、パソコンを用意しなくてもIP告知端末を通して今見ている自宅のTVの画面からリモコンを操作してインターネットを利用することが出来る

みなさん方に是が非でも注目していただきたいことは、

 @「上野原市の市街地・中山間地の一軒家でもアナログテレビを買い換えなくてもデジタル放送を見ることが出来るようになることはすばらしい」、あるいは、
 A「上野原の人々によって、上野原の人々の日々の生活に関するものごとについての、上野原の人々のための放送だけでなく行政放送がはじめられることもすばらしい」ということですが、私にとってもっとすばらしいと思われることは、
 B「パソコンを買わなくてもIP告知端末を通して今見ている自宅のTVの画面に現れるひらがなの文字盤からリモコンで文字を拾いながらインターネットを利用することが出来る」ということ、したがって、「上野原の市街地や中山間地を問わず、すべての上野原市民が一人残らずインターネットで互いに連絡を取り合える隣近所の間柄になる」ということであります。

 この際みなさん方に確認していただきたいのは、民間企業による携帯電話が普及しはじめたころ、上野原では携帯電話が使えない地域が多く残されていたことです。
 平成15年の春から初夏にかけて26の地区で夜7時から9時に地域住民懇話会が行われましたが、この席で「携帯電話を早く使えるようにしてもらいたい」という切実な要望が中山間地で何回となく強く出されていたことを思い出しています(私は26回の懇話会の9回目から26回目まで欠かさず18回出席しています)。
 上野原市による今回の光ファイバー事業は中山間地から先に光ファイバー工事が進められています。私はこの手順は「利益を事業活動の効率指標とする民間企業ではとても不可能なことで、費用はかかるけれども上野原市が『中山間地の情報弱者優先』の方針を採っていることは『正攻法』である」と高く評価しています。

インターネットが普及しはじめたころ、私は松留の大学の宿舎で昼間に大学から送っておいた写真つきのメールを夜遅く見ようとしましたが、メールの受信が終わるまで1時間余の間何をするわけにも行かずにPCの前に縛り付けられたことがありました。
    私は今上野原の中心市街地に住んで、このような不便から完全に開放されていますが、同じ不便が、今、上野原の中山間地で情報量の大きいソフトをインターネットからダウンロードされる場合に発生しています。
    このような中山間地の不便が市の光ファイバー事業で優先的に解消されるのは「上野原のすべての人々のための行政」として本当にすばらしいことだと思っています。

上野原市の光ファイバー事業によって私たちは『自家用車乗り合い・乗せ合いプログラム』に必要な「情報の仕組み」を持つことが出来るようになっています。問題は「所用で街へ出かける際に便乗を呼びかけるなど面倒なことは自分の性に合わない」とみんなが決め込んでしまえば、

@上野原の河岸段丘のデメリットをメリットに変える、

A中山間地の少子化・高齢化対策の決め手としての『結い』と『手間貸し』を復活させる、

B上野原を首都圏に最も近い田園都市にするなどの可能性を秘めたこのプログラムは瓦解してしまうということです。

  そこで私が呼びかけたいのは、『失われた地域社会の手間貸しや結いの精神(パブリックサーバントの精神)』に基づいて「自家用車の便に恵まれない『健常な交通弱者』のために便乗の機会を提供しよう」という有志を結集して、『上野原市の光ファーバー事業』によって上野原のすべての人々が参加する『自家用車乗り合い・乗せ合いプログラム』を成功させることであります。

  私が知る範囲で、仏教・キリスト教など世界宗教はすべて「自分が生かされていることへの感謝の念」を説いています。
 「自分を生かしてくれている社会」、これが「パブリック」(=公)であると私は日ごろから考えています。自分を生かしてくれている上野原という地域社会システムへの感謝の気持が『自家用車乗り合い・乗せ合いプログラム』という形で具体的に実行されることになればすばらしいと思う次第であります。

    次回はそのプロトタイプについて考えます。TN

     2007−5−20  谷口ウエノハラ研究室  谷口 文朗

 
 

自家用車乗り合い・乗せ合いプログラム
第4講   『自家用車乗り合い・乗せ合いプログラム』の立案と実行
 
   

    今回から「WHAT=具体的目標」について考えを述べたいと思います。その前に、年配の方でなくても私の文章にはカタカナが多いと思われる方がいらっしゃると思いますが、私は、「日本は文字・宗教・科学技術など『受容の天才』で漢字はもともと日本にはなかった。インターネットというものすごい技術を生み出したアメリカの言葉をカタカナという分かりやすい形で取り込むことなくして今の世の中は語れない」と思っています。これからもよろしくお付き合い下さいますようお願いします。
 
    これまで私たちの上野原についての常識は「河岸段丘のデメリットが一杯ある。坂が多く、道は狭く、住みにくい」ということであったと思います。しかしながらこの上野原で、@必要とする時に、A必要な場所と、B必要な場面で、自家用車を自由自在に乗りこなせている人は、河岸段丘から生まれるデメリットを克服して、『風の幸』のメリットを目一杯に受けることができています。この点に着目すると、上野原の目指すべき街づくりの根本は「公共交通を再構築すると同時にそれを補完する仕組みとして、現在の法律の枠組みの中で、@必要とする時に、A必要な場所と、B必要な場面で、C必要とする人に、D支払い可能な対価で、E自家用車に便乗できる仕組みを提供する」ことを基本コンセプトとして『自家用車乗り合い・乗せ合いプログラム』を立案・実行することであると考えます。これが実現した時に「上野原は『風の幸』の恵みを受けて、穣り豊かに長寿を全うできる首都圏に一番近い田園都市」になるのであります。

上野原でこのプログラムを成功させるにはどうすればよいか。そのための『目のつけどころ』は @『サービス』、A『ソフトウエア』、B『失われた地域社会の手間貸しや結いの精神(パブリックサーバントの精神)の復活』というものの見方・考え方で、私たち自身がこの考え方を単なる知識として知っておくだけでなく、これを信念にまで高めて行動に移すことであります。

まず『サービス』とは何かについて考えます。サービスは「値引きをしたりおまけをつけたりすること」ではありません。駅や病院までちょっと自家用車に便乗させてあげたり、お年寄りに手を貸してあげたり、留守番や子守を引き受けたり、幼稚園へ子供の送迎をしたり・・・などなど、要するに「相手の人にプラス(メリット)が生まれ、ありがたいと思ってもらえる行為をすること」であります。このサービスとは @その時刻・Aその場所・Bその場面で行われる『ライブのアクション』なのです。『ライブ』ですから『何かをしてあげる人』と『何かをしてもらう人』が『同じ時間に・同じ場所』にいなければならないということであります。『ちょっと・・・して欲しい』と希望する人と『ついでがある。それはお安い御用』と引き受ける人が『その時・その場所でぴったりと出合う』ことがどうしても必要なのです。日本の地域共同体で顔見知りの間で昔から行われてきた『結い』とか『手間貸し』は、要望する人と要望に応える人が日常的に出合って『口頭による意思疎通』ができる範囲で行われてきたサービス(ライブのアクション)のやりとりで、お金が支払われることはありませんでしたが後刻必ず同じ内容のサービスでお返しをしなければならなかったということであります。この場合のキーワードは『口頭による意思疎通』であります。

私たちは毎日の生活で病院・学校・交通・情報通信・物流・理容美容・車検・保険などのサービスにお米やパンなどのグッズよりも多くのお金を支払っています。国防や警察や消防などもサービスですが、私たちはその対価を税金の形で前もって支払っています。ここで、是非みなさま方に確認して頂きたいことは、@テレビや自動車やお米やパンなどの「グッズ」と「サービス」は車の両輪のように私たちの生活に組み込まれているということ、Aクオリティー オブ ライフ(QOL)、すなわち、「質の高い生活か、質が伴わない生活か」を決めるのは、ものが満ち足りている昨今ではサービスが決め手となっていること、B「サービスはライブのアクション」ですからサービスをしてもらいたい人とサービスをしてあげる人の出合いをうまく取り仕切る仕組み(ソフト)が絶対に必要であるということであります。

次は『ソフト』です。詳しくいうとソフトウエアと言うことになりますが、この言葉は「もとは英語ですから」といって『I.S.E.D.』という辞書で調べるわけには行きません。なぜならこの辞書が作られた1942年にはコンピューターもその関連用語も未だこの世になかったからです。そこで手元のパソコン用語辞典で調べますと「ソフトとは『何か』を実行させるための情報のやり取りの仕組み」ということになります。「新幹線の座席予約と代金の支払いやインターネットオークションの仕組み」が私たちの生活の中の具体例でしょう。「駅や病院までちょっと自家用車に乗せて欲しい」、「街へ用事に出かけるからついでに便乗させてあげよう」という出合いを取り仕切る仕組みも同じです。

「@ちょっと自家用車に乗せて欲しいという人の情報と出かけるついでに便乗させてあげようという人の情報を照合して、A一致する情報を選び出して当事者に伝達し、B当事者同士に実行を委ねる仕組み(ソフトウエア)を作り出して自由自在に利用すること」が出来ればよいわけです。『口頭による意思疎通』が出来ない場合にこれを実行しようとすれば、電話や伝言掲示板に頼らざるを得なかったのですが、今の世の中ではインターネットのおかげで「上野原の市街地や中山間地を問わず、上野原の市民一人一人が『口頭での意思疎通』が可能であったのと同じ隣近所の間柄になることができる」ということであります。手垢がついて汚れてしまった『出合い系サイト』すなわち「面識のまったくない他人同士の出合いの場」に代わる『SNS』(ソーシアルネットワーキングサイト)がこれに当たります。『SNS』は「知人の紹介があってはじめて仲間に入れてもらえる『知り合い系サイト』と言われる仕組みで、『仲間うちだけで利用する地域通貨』にうまく適合する仕組み」であります。

「上野原でこんなことできるわけがない。これはインターネットを使っている人にだけできる話で、年配の私たちには関係ない話」と思う方がいらっしゃれば「とんでもありません。時間にゆとりのあるお年寄りにこそ利用して頂きたい」ということであります。上野原市の光ファーバー事業によって私たちは上野原の中山間地の一軒家でも、若干の機器を接続することによって今見ているテレビの画面を使ってこのような仕組みを日常生活の中に取り入れることが出来るようになるのであります。TN

2007−5−13    谷口ウエノハラ研究室  谷口 文朗



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