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08.01.28 総務省の映像大賞応募作品の制作作業と上野原インフォメーションのHP工事のために、年末年始の3回分の記事掲載が遅れました。また、このHPのアドレスが変更となりました。ご了解ください。
特集 テーマ  上野原の市民は何を目指すべきか
 『光る市民の街への展望』
第46講 映像大賞コンテンツ その4 完
第45講 映像大賞コンテンツ その3
第44講 映像大賞コンテンツ その2
第43講 映像大賞コンテンツ その1
第42講 『光る市民の街への展望』−その3
第41講 『光る市民の街への展望』−その2
第40講 『光る市民の街への展望』−その1
第39講 『上野原インフォメーションの情報の質と未来像』−その4
第38講 『上野原インフォメーションの情報の質と未来像』−その3
第37講 『上野原インフォメーションの情報の質と未来像』−その2
第36講 『上野原インフォメーションの情報の質と未来像』−その1





第46講 映像大賞コンテンツ その4 完



上野原市を紹介する映像とナレーションの背景−第3部『民活』後半の3枚

 ここまでで私たちはこの20年間の上野原市の活性を生み出してきた『民活』についての議論を紹介してきましたが、ここから、『これから先20年間に上野原市を活性化させる筈の民活』についての論議と作成した静止画像について説明します。

『上野原 東京 西工業団地』と『一気完売』の背景

 1991年に私が『山梨県上野原町の八ツ沢の小高い丘に帝京科学大学が創設される』とはじめて聞かされた時、ドイツの企業を誘致してセラミックス系の新素材分野で先端科学技術の産業集積を生み出す産学官連携のテクノパーク構想がありました。

 東京工業大学の学長を勤められた帝京科学大学の初代学長の齋藤進六先生がセラミックス分野の権威でしたので、私は『そうなんだ!』とこの構想を素直に受取っていたのですが、上野原の中心市街地のある高台から大学まで、虹のような巨大な連絡橋がテクノパーク構想の中で描かれていたことを知っています(このスケッチは『私の古文書』をひっくり返したら出てくるかもしれません。閑話休題)。

 この構想の一端として、『コンピューター』、『バイオ』、『新素材』という21世紀の科学技術をリードすると考えられていた3つの先端技術分野に沿って3つの学科を構成し、それに科学技術の成果を企業化することを視野に捉えて4つ目の学科に『経営工学』を配して、帝京科学大学が生まれたと私は承知していますが、大学が生まれて8年後の平成10年に、オーストラリアの野天掘りの石炭や鉄鉱石の採掘現場で動いているような巨大なダンプカーが現れて、工業団地の造成がはじまりました。

 生まれ出た団地の名前は『上野原 東京西 工業団地』でありました。この団地の造成と販売に当たったのは(株)フジタでしたが、長い間、売れ行きは芳しくありませんでした。バブルが破裂して、わが国の経済が長い不景気に突入していたからであります。

 生まれ出た団地の名前は『上野原 東京西 工業団地』でありました。この団地の造成と販売に当たったのは(株)フジタでしたが、長い間、売れ行きは芳しくありませんでした。バブルが破裂して、わが国の経済が長い不景気に突入していたからであります。

圏央道による交通環境の充実と光ファイバーによる情報環境の充実

 この新しい工業団地が平成19年に『一気に』、文字通り、『一気に』完売となりました。その理由は2つありました。1つは、圏央道が中央高速道路に直結して、高速道路ネットワークによる物流の効率化が見込めるようになったこと、今ひとつは、合併で誕生した上野原市の『情報通信基盤整備事業』によって高速インターネット環境が整備されることが知られるようになっていたからであります(道路と情報環境はこれだけのインパクトを持っています。国道20号線の高尾の手前で国道を高速道に繋ぐ大規模な工事が進められています。地方にとって道路はまだまだ必要です。私の目には『道路特定財源を廃止するのは政(まつりごと)の重みを頭でしか理解せずに、身体で分っていない野党の政治家の行動』と映っています。『小沢党首は自民党幹事長を務めた人だから、政の重みを頭と身体の両方で知っている。だから大連合に応じたのだ』と私の心の鏡には映っています。閑話休題)。

 この2つの要素は掛け算で繋がっています。交通環境が100点でも情報環境が0点ならば企業は進出して来ません。逆に情報環境が100点でも交通環境が0点ならば企業は進出して来ません。上野原市の法人税のみならず人口・消費税・住民税・固定資産税などを直接押し上げる『企業の進出』は情報環境と交通環境の両方が揃ってはじめて実現することを『一気に完売の物語』は実証しています。

緊急の課題は日常生活のための情報環境と交通環境の充実

 翻って日常生活の場としての上野原市はどうでしょうか。今回の『情報通信基盤整備事業』によって情報環境は完璧に整いますが、交通輸送環境は河岸段丘で、道は狭く、坂道とカーブが一杯あって、全くよくありません。その上、比較的平坦でカーブが少ない県道には、乏しい財政の中から2600万円(聞くところによると3000万円に増加している!)もの補助金を受けながら乗客がほとんど乗っていない赤字の路線バスが排気ガスを噴出して走行するだけで、少子化・高齢化が情け容赦なく進行している中山間地では、自家用車に便乗する機会のないお年寄りは『禁固刑』を受けたがごとく、行動の自由を奪われているありさまです。

 バスが走る県道から集落にまで入り込んでドア ツー ドア輸送を行う乗客定員9人のデマンドミニバスの創設が緊急課題です。このことについてはこの上野原インフォメーションのシリーズの第5 WEB教室で紹介していますが、改めて別の機会に詳細に論じる予定です。

 上野原東京西工業団地完売の物語をどのように静止画像に作り上げるか、この工業団地は、完売はしたけれどまだ満杯にはなっていませんので、私たちは急遽デジカメで撮影した工業団地事務所前の完売を示す看板でこのことを表現し、これを第19静止画像としました。

『UBCは情報環境充実のための民活の源泉』

 私たちは第20静止画像として、第3セクターの上野原ブロードバンドコミュニケーションズ社屋を映し出すことにしました。UBCは上野原市が敷設する光ファイバーネットワークを使って、テレビとインターネットと行政放送および自主放送のサービスを行う上野原の地元企業が中心になって設立された会社であります。UBCは『民活の魂から生まれた民活の源泉』であります。

『市立病院の公設民営化も民活』

 次に私たちは市立病院の映像を第21静止画像として示すことにしました。上野原市の病院の問題は、国のインターン制度の変更後、医師の派遣が滞って診療科目の閉鎖が相次いで、抜本的対策が必要とされていましたが、『公設公営』すなわち『公設の病院は行政が責任を持って経営に当たるべきだ』というこれまでの常識とは異なった『公設民営化』というコンセプトがちょうど具体的な形に纏められ、議会の承認が得られたばかりのところでしたので『上野原市の新しい民活』の具体例として、簡潔にナレーションに取り入れることにしました。

 第20・第21静止画像のナレーションは次の通りです。


「『トリプル光ケーブル』による『光る街づくり』は、上野原ブロードバンドコミュニケーションズという地元出資の第3セクターによって進められています。医師不足の市立病院も平成20年1月に地域医療振興協会による『公設民営化』が決定しました。秋山温泉、市民プール、郷土館もすでに公設民営化されています」

秋山温泉、市民プール、郷土びりゅう館も民活

 ここで、私たちは民活がファッションのような一時の現象ではなく、上野原市の動きの基礎になっていることを示すために、秋山温泉、市民プール、郷土びりゅう館がすでに民営化されていることを付け加えました。
 
 秋山温泉について言えば、民営化されてから月曜日の定休がなくなって1週間毎日開館されるようになっただけでなく、無料の送迎バスの運行など公営時代に比べてサービスが格段に向上しています。このことひとつを取り上げても『民間のエネルギーと民間の効率』すなわち『民間の活力』が私たちの生活を豊かにしてくれていることが明らかであります。


上野原市を紹介する映像とナレーションの背景 −第4部 最後の9枚−

 私たちが設定した第4部のタイトルは『合併で誕生し、合併から新たなエネルギーを得た上野原市の未来像』であります。

 『合併で誕生し、合併から新たなエネルギーを得た』という表現は、私たちがこの上野原市に生まれ育ち、あるいは、上野原市に移り住むようになって得た知識と経験の中から渾身の力を込めて探し当てた表現であります。第43講で記しましたとおり、上野原市は『上野原町と秋山村の対等合併によって誕生した新しい市』であります。それによって『合併特例債による光ファイバープロジェクト』が可能になったのであります。

上野原市は『山紫水明なユビキタス社会』になる!

 『光ファイバープロジェクト』から生まれてくる未来の上野原市のイメージは『山紫水明なユビキタス社会』であります。私たちは首都圏の環境では求めようとしても求められない『山紫水明』の自然環境を市民カレンダーの@桂川河畔の桜、A秋の青空の柿、B朝霧の3枚の画像によって表現し、次のナレーションを配しました(第22〜第24静止画像)。

 「合併によって誕生し、合併から新たなエネルギーを得た上野原市は、ユビキタス社会における人々の生活拠点として、あるいはまた、グローバル化した経済における企業の事業拠点として、山紫水明の環境を保持したまま、ユビキタス社会に生まれ変わります」

 最後に私たちが取り組んだ課題は、未だ上野原市に姿を見せていない『ユビキタス社会』を作り出す手段とそれによって作り出される社会を出来る限り具体的に言葉で表現し、静止画像で示すことでした。

モニターの画像は残念ながら間に合わなかった

 『ユビキタス社会』を作り出す手段として私たちは第25静止画像でUBCの試験放送設備画像を映し出し、第26静止画像でUBC会議室に置かれている情報ターミナルとTVと電話の画像を示しました(折から大相撲初場所で長身のバルトが土俵に上がっている時でした)。私たちが思い描いた最善の画像はUBCではなく、モニターとして、山間の一軒屋に設置された情報ターミナルや地上デジタル波のきれいな画像を映し出しているTVや電話機の画像でありましたガ、時間に追われて次善の策をとらざるを得ませんでした。第27静止画像で私たちは将来の姿を想定して『防災マップと緊急連絡網づくり』に当たっておられる市民の姿を配置しました。
  
  25〜第27静止画像に配したナレーションは次の通りです。

「人々の生活拠点としての魅力は、上野原市の隅々で

@       地上デジタル放送の視聴と高速インターネットの利用および市内のIP/TV電話の無料化、

A       行政放送と市民自主放送による生活情報の適時・的確な伝達、

B       情報ターミナル利用による隣近所との連絡と1人住まいのお年寄りの安否確認、

C       光ファイバーネットワークによる地域社会の助け合いの絆の拡大

などが可能になり、『少子化・高齢化社会における安心・安全な生活』が実現することであります』

企業にとってのユビキタス上野原

 企業にとってのユビキタス社会については光ファイバーと中央道・圏央道による物流体系のイメージを上野原市の中心市街地を捉えた航空写真に託し、第28静止画像として、次のナレーションを付けました。

 「企業にとっての魅力は、中央道・圏央道による物流体系の活用と相俟って、高速インターネットによる日本と世界のマーケットを相手とした事業展開の拠点となることであります」

雪景色に光る樹齢800年の大ケヤキ』

 最終第29静止画像は、市民カレンダーの『雪景色に光る上野原市のシンボル・光る樹齢800年の大ケヤキ』であります。この映像は、何年か前の市民カレンダーの2月の画像です。『2月になんで桜なの?』と一瞬思ったほど桜と見間違えんばかりのすばらしい光の映像でした。

  これがこの画像に配した最後のナレーションです。
「上野原市のシンボルである樹齢800年の大ケヤキが雪の衣装をまとって1月の朝日を受けて、光り輝いています。合併によって誕生した上野原市は合併から新たなエネルギーを得て、民活エンジンをフル回転させて、今、『光る市民の街』へ前進しています」

 第30静止画像・・・・・THE END・・・・・

総務省に提出

 2008年1月21日(月)締切当日の午後、静止画像30枚、ナレーション4分45秒のこの作品は

会の名称 上野原市光る街づくり研究会

代  表 谷口ウエノハラ研究室代表・帝京科学大学名誉教授 谷口文朗

(〒409-0114 上野原市鶴島 2375-1 TEL:090-1803-6707)

連 絡 先 NPO法人上野原インフォメーション 理事長 野崎 忠

(〒409-0114 上野原市上野原 1985 e-mail:mux100@uenohara.info

 というラベルをDVDに貼り付けて東京山手線田町駅近くの映像大賞事務局に提出されました。

 12月27日に『応募しよう』という呼びかけを受けて、暮れと正月を挟んだわずか25日の間に、私たち7人の議論がナレーションの吹き込みとDVD編集を手伝ってくれたYOUTHの手でDVDに作り上げられました。

『オリジナルな映像で構成されることが条件の映像大賞に、この動画の時代に、大部分を既存の静止画を転用して応募するのは横着だ』と言われれば私たちは無条件で降伏します。しかし、私たちは『5分間の静止画とナレーション』によって『どのような動画よりも多くのメッセージを発信できた』と確信しています。時間に追われている私たちのペースに合わせて、映像の使用を許可下さった市役所関係各位にこの場を借りて厚くお礼申し上げます。

願わくは、私たちが5分間の応募作品に込めたメッセージが50年・100年の上野原市民社会の下降トレンドを上野原市民社会の50年・100年の上昇トレンドに大転換させて行く新生上野原市の市民のエネルギーの再発見と結集のきっかけになることを念じるばかりであります。(第7WEB研究室 完)

  

2008−3−30   谷口ウエノハラ研究室  谷口 文朗TN







第45講 映像大賞コンテンツ その3


上野原地域の歴史の流れ − その1− 国道・鉄道の開通と水運の喪失

私たちは『民活が上野原市のエネルギー源』というタイトルを第3部のテーマとして『今日の上野原市を作り出したエネルギーは何だったのか』について、日頃の薀蓄をぶっつけ合いました。

  まず最初に、上野原市への誘導をどのように行うかについての議論の中で『江戸の時代に上野原の地域は相模川を遡る水運の終着点で、藤野・秋山・上野原とその周辺の生活圏のマーケットととして、また、宿場町として繁栄していたということでした。

明治になって、国道が整備され、鉄道が敷設されて上野原地域の周辺に近代化の恩恵が及んだように思われたのでしたが、実際は国道と鉄道によって上野原は通過点になってしまっただけでなく、人々が首都圏に勤めるという形で地域のエネルギーが首都圏に吸い取られることになった』ということを確認しました。

上野原に生まれ育ったメンバーの議論の中で、上野原の方言には甲斐の方言と相模の方言が混じっているという議論がありました。これは相模川を遡ってくる船頭の言葉が上野原の方言に混じりこんだためだということで、関西育ちの私には仔細は十分分りませんが『説得的な論点』でした。

『水運による市場機能という江戸の時代の繁栄を決定的に奪い去ったのは昭和16年に行われた相模湖ダムの建設であった』と言うのも説得的でありました。当時は戦時体制で、ダム計画が有無を言わせぬ形で進められて、地域の繁栄にマイナスだから反対といった議論など行われる余地がなかったのでしょう。

上野原地域の歴史の流れ −その2− 絹織物産地と戦後の繊維産業の衰退

上野原を中心とするこの地域は、養蚕と絹織物の産地として日本が貧しかった時代を生き抜いて来たこと、その証が『桑の葉に機関車の煤煙がついてはならないという理由で、JR上野原駅が中心市街地から外れた現在に位置に作られたことである』と承知している私にとって、戦後に訪れた繊維産業の『ガチャマン景気』で賑わった一時があったことは十分理解できることでしたが、同時に、16年前に大学に着任するまで、東レという繊維産業の調査・企画部門でずっと仕事をしてきた私にとって、好景気は『わが国の繊維産業の長い土砂降りの中の束の間の晴れ間』に過ぎなかったこと、この地域の織物を生業とされた方々は、四六時中、織物事業から新しい事業への転換圧力を受け続けて来られたことが偲ばれたのであります。

私が上野原に住みはじめた今日までの間に、富士吉田地域では織機がしっかりと稼動しているだけでなく、織機への新規設備投資が行われるという『感動的な現実』に触れることが出来ましたが、上野原地域では、絹織物のネクタイがこの地の特産品としてJR上野原駅に展示されていても、織機が動く音を聞いたことがないというのが私の上野原での現実なのであります。

協同組合方式による日本ではじめての工業団地造成

一方で、私が上野原の地域で訪問させていただいた会社は、もとは織物業であった、この会社ももとは織物業であった、この会社はもとは織機を作る会社としてスタートしていたというように、すべての会社が繊維産業からの転進または新しく事業を興された会社であるというのが上野原の地域の現実であります。

私が上野原市に着任した時、ちょうどグリーンヒル工業団地が出来上がったばかりの時でした。私はこの頃の日経新聞に出た更地の工業団地の広告の紙面を今も大切に保存しています。あちこちの工業団地が空き地のまま困り果てていたここ10年の間に、この工業団地はわずか5年で満杯になっています。

この中には地元の企業だけでなく、首都圏から転入されてきた『世界に聳える野中の一本杉』のような技術をもつ会社も存在していますが、私が上野原市で地方税を支払いはじめて16年、私の目に映った上野原市の企業はとにかく『元気』なのであります。

下降トレンドから上昇トレンドへの大転換

このような上野原地域の歴史の流れを確認する中で私たちに生まれてきた認識は、上野原地域は明治以来長い下降トレンドの渦に巻き込まれてきたが、今やそのトレンドは反転し、上昇トレンドが生まれているということでした。この反転は『短期間の下降トレンドの反転という小規模なものではなく、10年、否、50年・100年の超長期トレンドの反転と考えてもよい』と私は思っています。

それは何故なのか。その根源は何なのか。この問いかけに対する回答が合併市町村映像大賞応募に当たっての論議の中から生まれてきました。そのキーワードは『民活』でした。その具体例として指摘されたのは、@グリーンヒル工業団地、Aコモアしおつ、B上野原東京西工業団地、C帝京科学大学でした。

最近、町営・村営から民活に変わった具体例として、秋山温泉・町民プール・郷土びりゅう館も具体例として挙げられましたが、市立病院の公設・民営化も立派な具体例であると指摘されました。

地域の情報環境を一変させる市の光ファイバーによって、@ケーブルテレビ、Aインターネット接続、B地域の行政放送と自主放送を行う上野原ブロードバンドコミュニケーションズ(UBC)が『民活』であることは言うまでもありません。

データに示された製造業の蘇生

2007年10月に、上野原インフォメーションの新着情報で、『強い製造業−上野原市の製造品出荷額の増加率は全国850市区中16位』(東洋経済社発行「 都市データパック2007」のデータ。現在上野原インフォメーションHPの新着情報のバックヤードに収録)という事実が紹介されましたが、その元気の根源は グリーンヒル工業団地にあると私の目には映っていました。

ここでは念のため、近隣市町村との比較データを再掲しましょう。

2004年製造品出荷額 2002年対比増加率 全国850市中順位
上野原市 698億円 +40.7%  16位
大月市 348億円  +0.7% 501位
都留市 640億円  +5.3% 360位

 この『グリーンヒル工業団地』は『平成5年にわが国ではじめて地元企業が協同組合方式で造成した』ということであります。『前例のない手法で上野原グリーンヒル工業団地を生み出した上野原市のリーダーの魂が現在の上野原市を生み出している』というのが『民活の意味』であります。

繰り返しますが、日本でバブルがはじけて、産業界が大変な構造不況に呻吟していた最中にこの工業団地が『5年で満杯になった』ということは注目に値することでありますが、私は、それだけではなく、街中にあった工場が工業団地に集約され、より大きく、高能率な工場に作り変えられただけでなく、工場跡地に、郵便局・警察署など市民生活の根底を支える公共施設が生み出されたことをしっかりと評価しなければならないと考えています。工場跡地に公共施設を作るという流れから現在の上野原市役所が出来上がったといっても過言ではないでしょう。

上野原市を紹介する映像とナレーションの背景−第3部『民活』前半の5枚

私たちはこのような議論を取り入れて、次のようなナレーションを作りました。

「上野原市は、江戸の時代には宿場町として、甲斐絹(かいき)と呼ばれる絹織物の産地として、あるいは、桂川の水運を利用した広域マーケットとして賑わって来たましが、明治以降、鉄道と国道の開通や戦時中の相模湖ダム建設による水運機能の喪失によって、長い下降トレンドの時代を過ごして来ました。

この間、織物産地として好景気に恵まれた時もありましたが、多くの企業が織物事業から精密金属加工や精密プラスチック加工事業へ転換して行きました。この中で上野原の街の中に散在した地元企業が結束して、平成5年に、わが国ではじめて『協同組合方式による上野原グリーンヒル工業団地』を造成しました。

この工業団地は、バブル崩壊後の景気低迷の最中に、わずか5年で満杯になり、この地域に活性が蘇る端緒を生み出しました。平成16年時点の上野原市の製造業の製品出荷額の伸び率が全国850市町村中16位に躍進したというデータがこのことを物語っています」

このナレーションは、時間の制約で残念ながらどんどん短縮せざるを得ず、最終的に映像大賞応募作品の第3部『民活』前半の5枚の静止画像に配したナレーションは次の通りでした。

「上野原市では、この半世紀、ほとんどの企業が織物事業から金属とプラスチックの精密加工事業へ転換して来ました。この間、特筆されるのは、民間の事業として『コモアしおつ住宅団地』、『上野原グリーンヒル工業団地』、『上野原 東京西 工業団地』が造成され、地域の活性が蘇って来たことであります。帝京科学大学が誘致されたこともこの地域に若人の活気を呼び込むことになりました。平成5年にわが国ではじめて協同組合方式で造成された『上野原グリーンヒル工業団地』は、バブル崩壊後の長い景気低迷の中で、わずか5年で満杯になり、この地域の製造業の出荷を大幅に増加させました」

『民活』を直接表現する静止画像については、5万分の1の地図に民活で進められた4つのプロジェクトの場所を示すという手法を採りました。帝京科学大学については新しく発足した医療科学部の静止画像を配し、工業団地については、私自身がデジカメで撮影した画像を用いました。

『コモアしおつ』の大きな意味合い

航空写真を配した『コモアしおつ』について、ナレーションでは、@平成3年に入居がはじまったこと、A現在、1200軒の住宅でほぼ満杯になったこと、B3600人の住民が住まっていることを述べましたが、コモアしおつの持つ意味は『市の行政の評価指標』に直接つながるという意味で、特筆すべき意味合いを持つと私は考えています。

企業の場合は活動の成果が売上高や利益という数値で示されるのに対し、市役所という行政機関の活動の成果は数値ではなかなか示せないという問題があります。『市民の満足は数値にはならないし、逆に市民の不満も数値には出来ない。喩え数値が作られてもそれは主観的な数値で、客観性を欠くから使えない。しかし、人口と納税額は見間違うことのない行政の評価データになる』という観点であります。

この観点に立って行政を評価する場合、コモアしおつは人口・消費税・住民税・固定資産税などの点で、市の行政評価点を直接押し上げることになっているからであります。

グリーンヒル工業団地についても同様のことが言える筈であります(帝京科学大学については、私の経験から言いますと、住民票を故郷に置いたまま大学生活を送っている学生が少なくなく、選挙に度に『住民票を上野原市に移して投票するように』と督励しましたが、効果はありませんでした。閑話休題)。

上野原市を紹介する映像とナレーションの背景−第3部『民活』後半の3枚

 ここまでで私たちはこの20年間の上野原市の活性を生み出してきた『民活』について説明してきましたが、ここから、これから先20年間の上野原市を活性化させる筈の『民活』についての論議と作成した静止画像について説明します。(つづく)


2008−3−23   谷口ウエノハラ研究室  谷口 文朗TN





第44講 映像大賞コンテンツ その2


上野原市を紹介する映像とナレーションの背景−導入部と6枚の静止画像

『上野原市光る街づくり実行委員会』では、前回紹介した合併市町村を対象とした5分間の映像応募作品のために多くのことを議論しました。最初に導入部の内容と6枚の静止画像についての議論を紹介しましょう。

最初は、上野原市がどこにあるかを示すことでした。最初の案は、日本列島の衛星写真に○印をつけて上野原市の場所を示すことでした。作られた画像を見て、上野原市は日本の中心近くにあることを知りました。私たちが作成した最終映像は、○印の代わりに ★ 印で上野原市の場所を示すことでした。星は光の連想につながります。光は光ファイバーに、光ファイバーは『輝きを増す上野原市』に繋がると考えたのです(第1静止画像)。

次は上野原市への誘導をどのように行うかを議論しました。上野原市に人々を誘うための交通手段として、JRと中央高速道路と国道20号線、あるいは、空からヘリコプターといった手段が考えられますが、その中からどれを選択するか。私どもが得た結論は、上野原市は『河岸段丘の街』であり、そのプラスとマイナスが良きにつけ悪しきにつけ上野原市を特徴づけているのであるから、八王子からJRで上野原駅に到着する直前のトンネルから出た時に眼前に広がる桂川とその両岸の河岸段丘の景色がよいということになりました。

JRの運転席から新しく撮影した動画、あるいは、新しくその風景を静止画で撮影することも考えましたが、季節が1月で枯れ木が林立する風景では絵にならないということで新規撮影は断念しました。その代わり、写真を趣味とされているプロ級の腕前の市民の方々が毎年応募されている市民カレンダーの風景画像の使用願いを市長に提出、許可を受けて、『つつじが咲いている5月頃の市民カレンダーの画像』によってJRで上野原市に到着する時の風景を紹介することにしました(第2静止画像)。

第3静止画像は、衛星画像で上野原町と秋山村の領域を黄色の線で囲み、両者が合併して出来る新上野原市の領域を示しました。

第1〜第3静止画像のナレーションは次の通りです。

「JR中央線で八王子駅から25分。平成の大合併を機に、『山紫水明なユビキタス社会』造りに邁進している上野原市に到着します。上野原市は上野原町と秋山村が平成17年2月に『対等合併』して誕生した首都圏に最も近い人口3万人の山紫水明な田園都市であります」

私たちは『対等合併』であることをナレーションに入れました。これはこのシリーズの第42講で書きました通り、対等合併によって合併が実現し、合併が実現したから合併特例債というフォーチュンが与えられ、合併特例債が与えられたから情報通信基盤整備事業が可能になり、光ファーバー計画が実行できたからです。合併したから人口3万人以下でも市になれたということも忘れてはいけないことと考えたからです。

 私たちはこの間の経緯を上野原町の広報で用いられた合併協議会の看板と町長・町議会議長・村長・村議会議長の写真を第4静止画像とし、西原地区の電柱への光幹線施設工事と光ファイバー幹線からの引込み線を第5・第6静止画像として表現しました(第4〜第6静止画像)。

第4〜第6静止画像のナレーションは次の通りです。

「上野原市は、合併特例債を活用して、すべての家庭とすべての事業所に、ユビキタス社会のインフラとして『光ケーブル』を敷設するという合併協議会の決定を実行することになりました。上野原市は、今なお携帯電話が使えない秋山地区と西原(さいはら)地区の山間地から、順次、中心市街地に向けて幹線と引込み線の工事を進め、このほど、放送と通信を担当する地元の第3セクターが、総務省の認可を受けることになりました」

このナレーションの中でとくに強調したかったことは、光ファイバーの敷設工事が山間の集落から中心市街地に向けて行われているという事実でした。『情報弱者優先』という上野原市の方針は一般の常識、さらにいえば総務省の見解に逆らったようでしたが、私たちはこの点に『上野原市の行政の品質を認めてもらいたい』という願いを込めました。

上野原市を紹介する映像とナレーションの背景−第2部の7枚

私たちは第2部のテーマを『進む市民の交流と市民の融合』とし、合併後、

@ 上野原町と秋山村の人々の交流は進んでいるが、片側1車線の天神トンネルがボトルネックとなっていること、
A このボトルネックの解消に山梨県が合併市町村を支援する観点から、新天神トンネルの建設に積極的に取り組んでくれていること

  をナレーションに盛り込もうとしましたが、丁寧にナレーションを行うとすぐ時間超過になり、説明を思い切って簡略化せざるを得ませんでした。

 簡略化する前のナレーションは次の通りでした。

「合併前の上野原町と秋山村は、棡原・西原地区の獅子舞や秋山無生野の念仏など多くの文化・伝統を共有するだけでなく、気候・風土・食生活から生まれる長寿という価値を共有してきました。その上に、合併による議員定数の大幅削減、秋山温泉のバスによる上野原地域の市民の送迎、秋山地域の市民による上野原地域の病院や文教施設の利用の拡大、上野原の駅伝競走への参加、山梨県による市町村合併推進社会基盤整備事業として、両地区を分断している天神トンネルに代わる『新天神トンネル』の平成20年度着工などの合併のメリットが加わって、今、この地域の活性が上昇トレンドに反転する機運が生まれています」というものでした。

簡略化する前のナレーションならば、獅子舞や秋山無生野の念仏など伝統文化の画像が入るはずでしたが、第7静止画像で天神トンネル秋山側出口、第8静止画像で秋山温泉送迎バスからの降車風景、第9静止画像でバスを降りた乗客のカウンターでの行列、第10静止画像で文化ホールのある上野原市役所を帝京科学大学から見た全景を示すにとどまりました。

問題は、このナレーションに相応しい静止画像がないことでした。1月のはじめは晴天が続きましたので、イメージサンプルの積りで普段使ったことのない510万画素のデジカメで私が天神トンネルの秋山側出口の静止画像を撮影しました。たまたま1車線の狭いトンネルを道幅一杯にヘッドライトを照らした大きな車が出てくるところを撮影出来ましたが、シャッターを押した後にトンネルから出てきたのはダンプカーでした。

 秋山温泉の送迎風景として、送迎バスの運転席から毎朝温泉に通われる年配の方々の静止画像を写して頂くようにお願いしましたが、光線の具合がいまひとつうまくなかったので、乗客が送迎バスから降車されるところを私自身がイメージ写真の積りで撮影しました。カウンターでの行列も同じ状況での撮影になりました。

後日談になりますが、秋山温泉の送迎バスの運転手さんに映して頂いた写真を電子メールで送ってもらったのですが、このときに、私の方から電話で『送ってもらった写真がまだ届きません』と電話をしたところ『すでに送りました』ということでしたので、私はPCの前でじっと待たざるを得ませんでした。2時間後に写真が届いた次第です。何のことはない、そんなに時間が掛かるなら車を運転して、USBスティックでデータを受取る方が早かったというわけです。光ファイバーが繋がる前の語り草になるような体験でした。閑話休題(第7〜第10静止画像)。

第7〜第10静止画像のナレーションは次の通りです。

 
「合併前の上野原町と秋山村は、気候・風土・食生活から生まれる長寿という価値と、文化・伝統を共有して来ましたが、人々は、1車線の天神トンネルでわずかに往来出来るだけでした。合併後は、秋山温泉のバスによる上野原地域の住民の送迎と旧秋山の村民と同じ温泉料金の適用が行われる一方で、秋山地域の住民が上野原地域の病院・文教施設を利用したり、駅伝競走へ参加するなど、住民の交流が活発化し、融合が進んでいます」

 『進む市民の交流と市民の融合』の具体例として私たちが注目したのは、談合坂サービスエリアでの『朝取り野菜の直販活動』でした(第11〜第12静止画像)。 

 この部分のナレーションとして、私たちは次の内容を用意しました。

「年間500万人を超える人々が訪れる中央自動車道談合坂パーキングエリアで、上野原の腕自慢の農家がはじめていた『朝取り野菜の直販活動』に秋山地域の農家が迎え入れられて、山間(やまあい)の農家の野菜づくりに新たな励みが生まれています。その売上高は年間1億円に迫っています」

私たちは、人口3万人足らずの上野原市に 「年間500万人を越える人々が訪れる場所がある。これは『巨大な付加価値の泉』である。上野原市には『道の駅』は必要ない。談合坂サービスエリアがあるではないですか」ということを考えてきましたが、合併後に秋山村の野菜づくり農家の方々が『朝取り野菜の直販活動』に参加されていることを確認し、これは合併後に生まれたすばらしい交流だと考えて、2枚の静止画像を配して、応募作品に取り入れました。

この機会に、今日までこつこつと実績を積み重ねられた130名の会員のみなさま方に敬意を表させていただきたいと考えます。

『進む市民の交流と市民の融合』の第2部の締めくくりとして、私たちは2車線の立派な新天神トンネルが完成した姿をイメージ画像として呈示し、併せてすでに実行に移された議員定数の削減などの合併による合理化効果を強調することにいたしました(第13静止画像)。

新天神トンネルはまだ出来ていませんから、実際に撮影することは出来ませんので、数年前に完成した秋山トンネルの秋山側出口の写真をイメージ画像としました。適当な画像がありませんでしたので、私自身がデジカメで撮影した画像を基に、パソコンの画面で、『秋山トンネル』の銘板の上に『新天神トンネル完成予想図』と書き込んで、第13静止画像としました。

2車線であることを画像で示すために、車がトンネルから出てくるのを待ち受けましたが、出てきた車両は青色のごみ収集車でした。

この部分のナレーションは、合併によるプラスを並べ立てたために、少し冗長になってしまいました。

「合併に伴う議員定数の削減、光ケーブルによる行政サービスの向上とコストの削減も期待される効果ですが、県が合併市町村のために行う『新天神トンネル』が完成すると、上野原地域と秋山地域の交通のボトルネックが解消し、市民の往来が一層活発化することは間違いありません」

上野原市を紹介する映像とナレーションの背景−第3部の8枚

私たちは第3部のテーマを『民活が上野原市のエネルギー源』として『今日の上野原市を作り出したエネルギーは何だったのか』について、日頃の薀蓄をぶっつけ合いました。(つづく)

2008−3−16   谷口ウエノハラ研究室  谷口 文朗TN






第43講 映像大賞コンテンツ その1


 『上野原市光る街づくり実行委員会』は、30枚の静止画像とナレーションで構成した5分の作品を作成して、総務省による『市町村合併をしたあなたのまち』映像大賞に応募しましたが、残念ながら3月8日に選外との連絡を受けました。

 ここでは旧上野原町と旧秋山村の合併によって誕生した上野原市にどのような新しい胎動が生まれつつあり、どのような未来が展望されるかについて、私たちが静止画像とナレーションで表現しようとしたことを書きとどめます。



総務省による『市町村合併をしたあなたのまち』映像大賞に応募作品

〔表紙とタイトル〕 対等合併によって誕生した『光る市民の街』上野原市
  制作:上野原市 光る街づくり実行委員会 
  協力:上野原市・上野原インフォメーション 

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第1部:上野原市は対等合併で誕生、合併特例債でユビキタス社会を創る

〔静止画像1〕 日本全国の衛星画像に上野原市を★マークでピンポイント。

〔静止画像2〕 JR八王子駅から上野原駅到着の際に開けてくる桂川と河岸段丘の風景を市民カレンダーの画像で紹介。

〔ナレーション〕 JR中央線で八王子駅から25分。平成の大合併を機に、『山紫水明なユビキタス社会』造りに邁進している上野原市に到着します。

〔静止画像3〕上野原町と秋山村の所在を黄色の線で囲った衛星画像。 

〔ナレーション〕 上野原市は上野原町と秋山村が平成17年2月に『対等合併』して誕生した首都圏に最も近い人口3万人の山紫水明な田園都市』であります。

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〔静止画像4〕合併協議会看板と町長・町議会議長・村長・村議会議長の写真。

〔ナレーション〕 上野原市は、合併特例債を活用して、すべての家庭とすべての事業所に、ユビキタス社会のインフラとして『光ケーブル』を敷設するという合併協議会の決定を実行することになりました。

〔静止画像5〕西原地区の電柱への光幹線施設工事。

〔静止画像6〕光ファイバー幹線からの引込み線。


〔ナレーション〕 上野原市は、今なお携帯電話が使えない秋山地区と西原(さいはら)地区の山間地から、順次、中心市街地に向けて幹線と引込み線の工事を進め、このほど、放送と通信を担当する地元の第3セクターが、総務省の認可を受けることになりました。


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第2部:進む市民の交流と市民の融合

〔静止画像7〕天神トンネル秋山側出口。トンネルから出てくるダンプカーのヘッドライトが見える。

〔ナレーション〕 合併前の上野原町と秋山村は、気候・風土・食生活から生まれる長寿という価値と、文化・伝統を共有して来ましたが、人々は、1車線の天神トンネルでわずかに往来出来るだけでした

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〔静止画像8〕秋山温泉送迎バスからの降車風景

〔静止画像9〕バスを降りた乗客のカウンターでの行列

〔静止画像10〕文化ホールのある上野原市役所を帝京科学大学から見た全景。

〔ナレーション〕 合併後は、秋山温泉のバスによる上野原地域の住民の送迎と旧秋山の村民と同じ温泉料金の適用が行われる一方で、秋山地域の住民が上野原地域の病院・文教施設を利用したり、駅伝競走へ参加するなど、住民の交流が活発化し、融合が進んでいます。

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〔静止画像11〕談合坂パーキングエリアでの『朝取り野菜の直販活動』@

〔静止画像12〕同『朝取り野菜の直販活動』A 

〔ナレーション〕 年間500万人を超える人々が訪れる中央自動車道談合坂パーキングエリアで、上野原の腕自慢の農家がはじめていた『朝取り野菜の直販活動』に秋山地域の農家が迎え入れられて、山間(やまあい)の農家の野菜づくりに新たな励みが生まれています。その売上高は年間1億円に迫っています。

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〔静止画像13〕『新天神トンネル完成予想図』(イメージ画像として2車線の秋山トンネル出口を利用)

〔ナレーション〕 合併に伴う議員定数の削減、光ケーブルによる行政サービスの向上とコストの削減も期待される効果ですが、県が合併市町村のために行う『新天神トンネル』が完成すると、上野原地域と秋山地域の交通のボトルネックが解消し、市民の往来が一層活発化することは間違いありません。

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第3部 :『民活』が上野原市のエネルギー源

〔静止画像14〕5万分の1の地図に上野原市の民活3事業(コモアしおつ・上野原グリーンヒル工業団地・上野原東京西 工業団地)と帝京科学大学の位置をピンポイント。

〔静止画像15〕帝京科学大学に新設の医療科学部

〔ナレーション〕 上野原市では、この半世紀、ほとんどの企業が織物事業から金属とプラスチックの精密加工事業へ転換して来ました。

 この間、特筆されるのは、民間の事業として『コモアしおつ住宅団地』、『上野原グリーンヒル工業団地』、『上野原 東京西 工業団地』が造成され、地域の活性が蘇って来たことであります。

 帝京科学大学が誘致されたこともこの地域に若人の活気を呼び込むことになりました。

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〔静止画像16〕コモアしおつ住宅団地航空写真

〔ナレーション〕 平成3年に入居がはじまったコモアしおつ住宅団地は、現在、1200軒の住宅でほぼ満杯になり、3600人の住民が住まっています。

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〔静止画像17〕上野原グリーンヒル工業団地 正面全景

〔静止画像18〕上野原グリーンヒル工業団地 左全景

〔ナレーション〕 平成5年にわが国ではじめて協同組合方式で造成された『上野原グリーンヒル工業団地』は、バブル崩壊後の長い景気低迷の中で、わずか5年で満杯になり、この地域の製造業の出荷を大幅に増加させました。

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〔静止画像19〕上野原 東京 西工業団地完売の図

〔ナレーション〕 上野原市では、昨年、情報基盤整備事業が評価されて『上野原 東京西 工業団地』が一気に完売となりました。

〔静止画像20〕第3セクター上野原ブロードバンドコミュニケーションズ社屋

〔静止画像21〕市立病院

〔ナレーション〕 『トリプル光ケーブル』による『光る街づくり』は、上野原ブロードバンドコミュニケーションズという地元出資の第3セクターによって進められています。

 医師不足の市立病院も平成20年1月に地域医療振興協会による『公設民営化』が決定しました。秋山温泉、市民プール、郷土館もすでに公設民営化されています。

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第4部:合併で誕生し、合併から新たなエネルギーを得た上野原市の未来像

〔静止画像22〕上野原市の未来像は山紫水明なユビキタス社会 @桂川河畔の桜

〔静止画像23〕上野原市の未来像は山紫水明なユビキタス社会 A秋の青空に柿

〔静止画像24〕上野原市の未来像は山紫水明なユビキタス社会 B朝霧

〔ナレーション〕 合併によって誕生し、合併から新たなエネルギーを得た上野原市は、ユビキタス社会における人々の生活拠点として、あるいはまた、グローバル化した経済における企業の事業拠点として、山紫水明の環境を保持したまま、ユビキタス社会に生まれ変わります。

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〔静止画像25〕UBCの試験放送設備画像

〔静止画像26〕UBC情報ターミナル・TV・PHS画像

〔静止画像27〕新画像 防災マップと緊急連絡網づくり

〔ナレーション〕 人々の生活拠点としての魅力は、上野原市の隅々で

@ 地上デジタル放送の視聴と高速インターネットの利用および市内のIP/TV電話の無料化、
A 行政放送と市民自主放送による生活情報の適時・的確な伝達、
B 情報ターミナル利用による隣近所との連絡と1人住まいのお年寄りの安否確認、
C 光ファイバーネットワークによる地域社会の助け合いの絆の拡大

  などが可能になり、『少子化・高齢化社会における安心・安全な生活』が実現することであります。

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〔静止画像28〕中心市街地航空写真と中央道・圏央道による物流体系

〔ナレーション〕 企業にとっての魅力は、中央道・圏央道による物流体系の活用と相俟って、高速インターネットによる日本と世界のマーケットを相手とした事業展開の拠点となることであります。

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〔静止画像29〕雪景色に光る上野原市のシンボル・光る樹齢800年の大ケヤキ

〔ナレーション〕 上野原市のシンボルである樹齢800年の大ケヤキが雪の衣装をまとって1月の朝日を受けて、光り輝いています。合併によって誕生した上野原市は合併から新たなエネルギーを得て、民活エンジンをフル回転させて、今、『光る市民の街』へ前進しています。

〔静止画像30〕THE END

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 次回は私たちが論議を重ねたものの5分という時間の制約によって止むを得ずにナレーションから割愛した事柄を紹介します。

2008−3−9   谷口ウエノハラ研究室  谷口 文朗TN






『光る市民の街への展望』

第42講 『光る市民の街への展望』−その3


『光る市民の街』への原点の確認

 自動車・鉄道・船舶などすべて動いているものには『慣性』(進行方向に向かって動こうとする力)が働いていますので、止まろうと思ってもすぐに停止できず、停止するために逆方向に働く強いエネルギーが必要になります。

 私は『社会も同じで、社会は少しずつ一定の方向に向かって後戻りできない形で動いていて、方向転換するだけでも強いエネルギーが必要とされる』と考えています。江戸から明治への転換点では、髪型・洋服・履物などなど日常生活のスタイルだけでなく社会制度が根本から変わりましたからよく分って頂けると思います。いつの時代でも言えることですが、目に見えるところは変わっても、人々の考え方など目に見えない部分は変化していても外から見えないし、変化していなくても変化したという振りをしてその場を繕うことが可能です。

 『社会を一定の方向に向かって動かす要因は何なのか』、私は、第26講で記しましたように、
@ 費用・効果基準:『より少ない費用・より少ない時間で』日々の生活を送ることが出来るか
A 人権と機会均等基準:『女性の社会進出・地域格差の解消』に役立つか
B 地球環境保全基準:『NOX・COX排出削減・エネルギー節約』に有効か
  であると考えています。このような要因によって生じた変化は不可逆的で、元に戻ることはありません。

 上野原市は、今、『光る市民の街』に向かって動きはじめています。ここで『何ゆえに、何が、どの方向に向かって動きはじめたのか、その方向はそれでよいのか』を原点に立ち返ってしっかりと確認しておくことが必要だと思っています。

時計の針を3年前に戻して、『対等合併』を再確認する

 今から3年前の平成17年2月1日に、平成20年現在の上野原市民は上野原町と秋山村に住んでいました。この時、上野原町と秋山村は『対等合併』して上野原市になりました。合併は対等合併で、吸収合併ではありませんでした。『はじめに上野原市があってそこに秋山村が加わった』のとはわけが違います。

 私を含めて上野原町に住んでいた人は、ともすれば『町がそのまま市になっただけ』と思いがちですが、『合併がなければ、上野原町は市になりたくても市になることが出来ずに、平成20年の今も上野原町のまま残っていた』というのが真実なのです。上野原市は合併という『お産』を経て誕生した『新しい市』なのであります。

 ここのところをしっかりと確認して、納得しておかないと『光ファイバーの恵沢が太陽光のように均等かつ燦燦と降り注ぐ街』にはならないと私は考えています。

上野原市民は名実ともに『市民』社会を生きることが出来るようになった

 私たちは『封建時代に生きているのではない。市民社会に生きている』と言いますが、対等合併によって『市』になったから、私たちは日常生活の中で名実ともに『市民が市民社会を語ることが出来る』ようになっているのです。それまでは『町民・村民が市民社会を語る』ということになっていたのです。一昔前の町民が『インターネットによってコンピューターが身の回りのどこにでも入り込んでいる最新のユビキタス社会』を語るというどこがちぐはぐなことになっていたのです。

 平成17年当時、市になるには人口が3万人以上でなければなりませんでしたが、平成の大合併政策の特例で、人口が3万人に達していなくても市になることができたという説明があったと私は記憶しています。

 合併がなければ私たち旧上野原町の市民は今なお町民であった筈ですから、町民としての意識で未来を語るのではなく、『市民になったこと』をはっきり意識して『光る市民の街』を語らねばなりません。

その上『合併特例債というフォーチュン』を与えられた

 『フォーチュン』は『チャンスや幸運』という意味のほかに『富』あるいは『大金』という意味があります。その額は67億円で、国が70%、上野原市が30%を負担する、すなわち、20億円の地元負担で67億円分のプロジェクトを実行できるということであります。

 このフォーチュンを使って『上野原町と秋山村の将来をよくするために何をなすべきか』が合併協議会で論議され、秋山村から『テレビがよく映らず、携帯電話が今なお使えない情報過疎地対策とJR上野原駅南口の開発』が提起されたと私は承知しています。秋山村からの提起は当然上野原町の中山間地の人々にも当てはまることでありましたから、それが上野原市の人々の生活にプラスになるのは当然の成り行きで、光ファイバー計画はこうして生まれてきた有益なプロジェクトであると私は単純に考えればよいと思っています。

小異を捨てて大同に就く

 『光ファイバー計画についての異論とそれに対する考え方』について、私は、このシリーズの第36講から第39講で『NEXT氏』の論旨を確認しながら紹介していますが、今回、上野原市が誕生した経緯を再確認して、みなさんに納得していただきたいのは、旧上野原町の市民は、『光ファイバー計画について、小異を捨てて大同に就いて前向きに協力するのが当然』と言うことであります。その理由は、

@ この合併によって旧上野原町は『市』という市民社会の表札を掲げることが出来るようになった、
A その上、合併によって特例債という大きなフォーチュンを手に入れることが出来た、
B このフォーチュンによって光ファイバー計画の財源が与えられた、
C 光ファイバー計画の発端は旧秋山村の情報過疎地対策として提案されたが、当然のことながら旧上野原町の情報過疎地対策となる、
D 旧上野原町の中心市街地は民間企業のADSL回線あるいは光ファイバー回線によって高速インターネット環境が与えられ、上野原市の光ファイバー回線がなくても一向に不便を感じることはないが、そのことをもって市の光ファイバー計画を妨害することは、『情報強者による情報弱者いじめ』以外の何ものでもない。『いじめ』は市民社会にあってはならないことである。

残される小異の部分

 私が忖度する小異の部分は『光ファイバー計画はすばらしいが、その進め方において、透明性がなかったところに問題がある』ということであると理解しています。

 この点について、私はこのシリーズの第19講で考えを述べていますので、参照していただきたいと考えます。それ以上のことについて、私は、現時点で上野原市とUBCの話し合いの経緯と契約を含めた合意内容など具体的内容を知りませんので、小異の部分について現時点で論評することは出来ませんが、実際に光ファイバーの恵沢が行きわたりはじめて、その対価が支払われ、第3セクターの決算業績と市民生活への効果が出揃ったところで『公共性の大きい事業についての競争と独占』の観点から、新事業を興す創業者の利益と市民の利益の最適バランスを見出さなければならないと考えています。

中心市街地の光ファイバー回線工事の早期完成に向けて

 平成20年度には中山間地からはじめられた光ファイバー幹線工事がいよいよ中心市街地でも行われます。

 改めて『小異を捨てて大同に就く』ことによって工事が完成し、上野原市が全国に先駆ける『光る市民の街』に様変わりすることを期待しています。

総務省による合併市町村映像大賞コンペへの応募

 昨年12月27日に、総務省が合併市町村を対象に『合併によってどのようなプラスが生まれているか、映像大賞コンペを実施している。締切は1月21日である。応募しよう!』という呼びかけが私のところに伝えられました。

 急遽、上野原インフォメーションと谷口ウエノハラ研究室を活動拠点として『上野原市光る街づくり実行委員会』を立ち上げて、5分間の映像とナレーションを作成して応募しました。

 この第42講が上野原インフォメーションのポータルサイトに掲載される頃には、受賞できたか、落選したかが連絡されてくる手筈になっています。受賞できたか否かに関わりなく、次回には、旧上野原町と旧秋山村の合併によって誕生した上野原市にどのような新しい胎動が生まれつつあり、どのような未来が展望されるかについて、私たち『上野原市光る街づくり実行委員会』が作成・応募した映像とナレーションの内容をお伝えしたいと考えています。


2008−3−2   谷口ウエノハラ研究室  谷口 文朗TN






『光る市民の街への展望』

第41講 『光る市民の街への展望』−その2


光る市民の魂は『独立した個人による自己責任』

 前回私は「封建社会ならばいざ知らず、上野原市は『市民社会』であります。市民1人1人が、誰かと親分子分の関係ではなく、自分の判断で自分の考えを述べ、賛否を明らかにすることが『光る市民の街』への第1歩であります」と記しています。市民社会とは、1人1人の市民が『自由で・平等・機会均等』という考え方を基礎とする人間関係によって成り立っている社会ということであります。

 『封建社会と比べるとは何ごとか』というお叱りを受けるかもしれませんが、『新憲法以前』と『新憲法後』、有り体に言えば、『戦前』と『戦後』と言い換えてもよいと思います。

 『自由で・平等・機会均等』という立場は『1人1人が独立しているが故に、自分のことは自分で決める。その代わり責任はすべて自分にあるという徹底的な自己責任』と裏腹になっています。『親戚の○○○が反対だから、私も反対です』と言って責任逃れをすることが許されないということです。

 光ファイバー計画によって上野原市の中山間地に開けてくるインターネット社会は、あらゆる瞬間に『個人の判断と責任』が求められます。インターネットが普及する中で個人情報保護法が制定され、『個人の立場がよりしっかりと保護される』ようになったのはそのためであると私は考えています。

首都圏のインターネットも上野原市のインターネットも違いはない!

 首都圏は人口が1000万人で、個人はそのうちの1人に過ぎないだけでなく、みんなが覆面をしているような社会です。一方、上野原市は人口が3万人で、個人はそのうちの1人で、その上、親戚関係が見えない網の目のように張り巡らされていますから『首都圏のような個人中心の人間関係は成り立たないのだ』ということも判らないではありませんが、親戚関係は『主義・主張に関わる政党の関係』ではありませんから、そこを割り切って、日常生活のプラス・マイナスに関わることがらについての賛否は自分で決めことが『光る市民の街』への展望を切り開く第1歩となるのです。

 中心市街地はNTTやYahoo! の光ケーブルやADSL回線によって高速インターネットが実現していますが、今後、上野原市の中山間地でも開けてくるインターネットの世界は、親分子分の関係ではなく、徹頭徹尾『独立した個人が参加し、自己責任が求められる世界』なのです。この点で、首都圏のインターネットも上野原市のインターネットも何ら変わるところはありません。

契約によって成り立つ会社と個人の関係

 『封建社会では、子分は親分によって生活を支えられている』という観点から見ると『毎月の給料を払ってくれる会社は恰も親分のようなものだから、社長のいうこと、あるいは職場の上司のいうことには逆らえない』と言われる方も多いのではないでしょうか。ここで私は独立した市民になろうとする時に必要とされる2つのことを書きとどめたいと思います。

 第1は、会社と自分の関係に『オフィシャル』(公)と『プライベート』(私)という観点をしっかりと持ち込むことです。『会社と自分の関係は、雇用契約、すなわち、約束した時間の中で自分が持つ力と技を会社に提供する義務(デューティー)を負う代わりに、その対価としての賃金を受取る』という約束に基づいているのですから、『オン デューティー、すなわち、定められた時間の中では会社の言うことに従わなければなりませんが、オフ デューティー、すなわち、定められた時間以外は会社の言うことに従う義務はない』という線引きを行うことです。『残業は、会社の言うことに従う義務のない時間に仕事をする』ということでありますから『会社は割増賃金を用意して改めて命令しなければならない』のです。『残業は命令によって行われる』のです。オフ デューティーの時間に何かを頼まれて、自分の意志で了解した時は『ボランティア』という位置づけになります。

個人の立場を擁護する『公益通報者保護法』

 第2は、平成18年4月から『公益通報者保護法』が実施されていることです。この法律は『会社の言うことに従わなければならないオン デューティーの時間に、違法行為が行われている場合に、一定の条件の下で違法の事実を通告した個人が、保護される』ことを定めた法律で、会社と個人の関係について『個人を保護する立場』が法律によって示されたということです。

 一定の条件とは、
@ 通報できる人は『会社から給料を支払われている人である』、
A 通報する対象は『会社の役員や従業員が法律違反をしているという事実』、
B 通報先は『原則として会社、場合によって監督官庁またはマスコミ』
 ということであります。

 この法律は『ザル法』だと評価する人もいますが、昨年来、『赤福』・『吉兆』などなど、昨年、食品についての会社の違法行為が次々に明るみに出たことはこの法律によって内部告発が行われた結果です。当然のことですが、『個人的な利益のための密告、あるいは、会社に不利益をもたらすような競争相手への密告』は保護されません。

一定の条件の下ではあるが、密告が法によって認められるようになった!

 この法律は、『会社の言うことに従わなければならないオン デューティーの時間に個人を保護する法律』ということが出来ますが、『密告』を是としない日本の日常生活の中で、法律を犯して、公にとってマイナスの行為が行われている場合に、『止むを得ずに密告を奨励する法律』と思っています(ドイツでは密告が生活慣習として認められています。私は『一方通行の通りを逆走行した場合、目撃者が警察に通報すると違反になる』と聞いたことがあります。東ドイツが崩壊した時に、密告文書が続々と出てきたことを思い出される方もいらっしゃるでしょう。閑話休題)

新憲法以前の常識の残滓を捨て去って、新憲法による市民社会の常識に従う時

 わが国は『法治国家』であります。C型肝炎訴訟のをめぐって、総理大臣でさえ、個人の恣意で患者を救済できず、新しい法律を作ってはじめて患者を救済することが出来たのであります。その日本で、法律がここまで踏み込んで『個人を保護する』方向に動いている時代なのであります。平成20年、上野原市で、光ファイバーによって『光る市民の街』の幕が上がるからには、『親戚の○○○が反対だから、私も反対です』という言葉を過去の言葉として『封印』して、『新憲法』による社会常識に従わなければなりません。

 「○は善、●は悪」とします。その中間に灰色があります。「黒地に灰色の丸印がついている場合に、灰色は黒より白いですから、相対的に白いが故にそれはそれでよいではないか」となりますが、「地色が黒から白地に変わって、その上の灰色の丸印がついている場合には、同じ灰色は白より黒いですから、相対的に黒いが故にこれは問題だ」となります。

 私はここで言う「白あるいは黒の地色は時代の常識」と考えています。自分は灰色で何ら変わっていないのに、時代が封建社会から市民社会に変わったと考えて見てはどうでしょうか。新憲法以前ならば『親戚の○○○が反対だから、私も反対です』と言っても何らおかしなことはなかったでしょうが、新憲法が出来てから60年以上の歳月が経過している今の世の中で、『親戚の○○○が反対だから、私も反対です』という人は『どこか変だ』ということなのです。

『面従背腹』はもっと悪い

 『親戚の手前そう言っているだけだ』と言われるかもしれませんが、私に言わせればそれは自己責任に反するし、『面従背腹』は信義に悖るのでもっと悪いということです。信用がないところに安心・安全な社会は成り立たないからです。

 以下は私の信用哲学です。

  yを信用、xを年数とし、10年で10の信用を得ようとする場合

   信用 y は  y = x(x>0)

 という式で書き表せます。この式は、信用は毎年1ずつ増加して10年後には10になることを示します。私が会社人間として、また、大学の教員としてこの身体で理解したことは、1年で1の信用を得ることはありえないということです。私が理解している信用の方程式は、

   信用 y は y=( 1/10 )*x² (x>0)

 のような構造をしているということです。

 この式は x =10、すなわち、10年後には10*10/10=10で、10年後に10の信用が得られることを意味していますが、1の信用を得られるのは1年後ではなく、 √10=3.16 年後であることを意味しています。この3.16年の最後のころに失敗をしでかすと信用のレベルは再びゼロに戻ります。この場合、次の3.16年の間に失敗をしなかったとしても、1の信用を得るのに6.32年の歳月が必要ということになります。閑話休題。
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2008−2−24   谷口ウエノハラ研究室  谷口 文朗TN






『光る市民の街への展望』

第40講 『光る市民の街への展望』−その1


平成20年、上野原市で『光る市民の街』の幕が開いた!

 平成20年も2ヵ月が過ぎようとしています。上野原市の平成20年は、今なお携帯電話が使えない地域が残されている情報過疎地の西原・秋山地域で光ファイバー幹線の工事が終わり、モニターを申し出た家庭と企業で光速=高速インターネットと綺麗なデジタルTV時代の幕開けではじまりました。『光る市民の街』の幕が上がったのです。

 これらの地域では、順次、家庭への引込み線の工事が行われ、いよいよ情報過疎地であった地域で、光ファイバーのメリットが目に見える形で姿を表わします。『目から鱗が落ちた』という反響が上野原市の一番奥まった地域から口コミで中心市街地に伝わりはじめています。

 今後、バス路線でいえば大田上・犬目・不老下地域から中心市街地に向けて幹線工事が進み、1年後には、上野原市全体に幹線工事が終わり、引込み線工事が進むにつれて、山間であるかビル影であるかに関わりなく、上野原市のすべての家庭と事業所において
@ 光速=高速インターネットの利用と綺麗なデジタルTVの視聴
A 情報ターミナル(情報告知端末)によって無料のIP・TV電話やインターネット伝言板によって『上野原市のすべての人々の間にお隣同士のような間柄』の生活
 が可能になるのであります。

 私は、光ファイバーによって開かれるこのような日常生活を『光る市民の街』と表現します。

上野原市の『光る市民の街』は全国の先進事例!

 
前回の第39講で確認しましたが、上野原市の光ファイバー計画は、
@ 上野原町と秋山村との対等合併から生まれたプロジェクトである、
A 合併によって事業費の70%を国が負担する合併特例債という有利な財源を与えられてはじめて可能になった(合併特例債でない場合は国補助は25から33%にとどまる)、
B 上野原市は、常識に逆らって、情報弱者を優先して、山奥から中心市街地に向けて工事を進めた、
C 民間のエネルギー(『民活』)を大いに活用して、家計負担を軽減している、
D NTTや大手CATV会社に期待してもこのような生活は実現できない、
E 光ファイバー計画が潰れたら、上野原市の中山間地の集落は少子化・高齢化によって崩壊してしまう、
F この事業は情報化時代の技術を活用して地方を活性化させようという国策に沿った事業である
 などの点で、全国に先駆けたすばらしい計画です。

 上野原市の計画には『情報ターミナル』(情報告知端末)の使い方に特徴があり、市民のみなさんがこれを十分に活用しはじめ、そのすばらしさが日常生活の中で息づきはじめると、上野原市は『光豊かな自然環境』と『光ファイバーによるユビキタス社会』になるはずであります。

『光る市民の街』への第1歩は綱引き構造の克服

 私たち上野原市民が『光る市民の街』への第1歩を踏み出すためには克服しなければならない壁があります。

  それは『NEXT氏』が指摘した「青ビラ派が仕掛けている反対運動は、2年後の市長選で市長の椅子を奪取するための政治活動である。光事業に照準を当てているが、青ビラ派の本当のねらいは反市長派勢力の増強にある」という綱引き構造を解消しなければならないことです。『NEXT氏』が執筆した時は『2年後』でしたが、地球が回っていますので、市長選挙は今からは『1年後』に迫っています。このような綱引き構造があるところに社会の進歩は生まれません。


光ファイバーは主義・主張とは関係がない事柄


 2つの勢力がお互いに相手を叩き合う構造は人間社会のどこにでもある事柄で、上野原市だけのことではありません。日本の政治で、自民党・公明党が民主党そのほかの野党と対立しているのもその1例ですが、これは主義・主張を同じくする人々だけが集まって結成した政党と政党の対立ですからそれはそれでよいのです(私は、大学へ入ってすぐの時、未だいがぐり坊主で、頭の中が何色にも染まっていない時に、4人の教授がすべての新入生に『ソ連邦経済学教科書』で共産主義経済学を講義するというとんでもない時代を過ごしました。この時に、『私有財産を認めないのが共産主義である』と確信したのですが、主義・主張を異にする人物の粛清が平然と行われた歴史を知るところとなりました。主義・主張を異にすることは命に関わりかねない恐ろしい事柄なのです。閑話休題)。

光ファイバーは1人1人の生活のプラスとマイナスで判断する事柄

 上野原市の光ファイバーの賛成・反対は主義・主張の問題ではなく、光ファイバーによって生じる日常生活上のプラスとマイナスを比較して、プラスが多ければ賛成、マイナスが多ければ反対というそれだけのことですから、私の目からすれば、なぜ執拗な反対運動が続くのか理解できないのです。

 判断のための情報が足りないことを『NEXT氏』も指摘していましたが、それも一因といえるでしょうが、地域ごとに説明会が行われたり、市役所からチラシが配られたりしていますので、必要最低限度の説明は行われていたと言ってよいでしょう。

 市役所の説明は、『NEXT氏』が示したような徳島県と香川県の町の実例との比較対照がありませんでしたので、もうひとつ分りにくかったことは確かです。自分と隣を『横並びで比較』することは、洋の東西を問わず、自分たちの位置づけが一番分りやすい形で示す方法ですから、大いに活用されてよいことだと思います。

『○○○が反対だから、私も反対』の克服が『光る市民の街』への第1歩

 私にとって不可解なのは、私が『光ファイバー計画をどう評価しますか、賛成ですか、反対ですか』と質問した時に、『親戚の○○○が反対だから、私も反対です』という返事によく出会うことです。自分は親戚の○○○とは全く異なった独立した人格なのですから、自分にとってのプラス・マイナスを比較して、プラスが多い場合には自分で判断して、自分で決めればよいのではないでないでしょうか。

 封建社会ならばいざ知らず、上野原市は市民社会であります。市民1人1人が、誰かと親分子分の関係ではなく、自分の判断で自分の考えを述べ、賛否を明らかにすることが『光る市民の街』への第1歩であります。


2008−2−17   谷口ウエノハラ研究室  谷口 文朗TN






『光る市民の街への展望』

第39講 『上野原インフォメーションの情報の質と未来像』−その4


上野原インフォメーションの『NEXT氏の情報』の評価

 『NEXT氏』の情報評価と『光る市民の街への展望』に入る前に、私が上野原市の光ファイバー事業について『NEXT氏』を通して教えられたことと自分で確認したことを取り纏めます。

@ 『通信情報基盤整備事業』の経緯:『通信情報基盤整備事業』は合併協議会の協議・決定事項。その事業費総額は約17億6千万円、うち、国が約12億3千万円と利息を合併特例債で支援してくれるので、市の債務は約5億3千万円となる。これを15年に分割して支払うと年間約3千5百万円の返済になる。
A 合併特例債:合併特例債は政府が承認したプロジェクトでないと利用できない。
B 徳島県上勝町と上野原市の対比:徳島県の山の中の上勝町(かみかつちょう)は、人口2000人、約850世帯で、上勝農協が提案した『すきま商法』(ニッチ商法)の『葉っぱビジネス』により町起こしが軌道に乗った町。老齢の農家の婦人がパソコンを活用し、市場の動向を把握し、天気予報を見て高値で売るように出荷調整し、受発注の業務をこなして年間1000万円を売り上げる主婦がいる。しかし、人口減は続いて、町の財政も厳しい。
 
この町は合併していないから特例債は使えないが、平成19年8月に上野原市と同じような情報通信基盤整備事業を始めた。事業費は総額9億1千5百万円で、国が1/3を、県が1/6を補助するが、町は全体の1/2の4億5千8百万円を負担する。事業費総額は1世帯当たり1076万円である。事業の運営は四国電力の子会社の徳島ケーブルテレビが担当している。インターネットは出来るが、告知端末はなく、デジタル放送の視聴だけで世帯当たりの加入金が5万円、月当り使用料は2700円である。
C 6900世帯の香川県まんのう町は、合併特例債を活用して全戸に光ファイバーを敷設して、情報通信基盤整備事業に乗り出す。事業費総額は27億円、町の負担は30%の8.1億円、1世帯当たりの事業費総額は39万円である。
 デジタル放送の難視聴地域解消や情報格差是正に対応する点や運営を民間事業者に委託するのは上野原市と同じだが、情報ターミナル(告知放送端末)を町が全額負担するので、合併特例債を活用するが事業費総額が膨らんでいる。
D 10000世帯の上野原市の場合は、合併特例債を活用るすだけでなく、情報ターミナル(告知放送端末)を全額(株)UBCが負担するので、1世帯当たりの事業費総額はまんのう町の半分以下の18万円に納まる。情報ターミナルはIPアドレスを持ち、防災や福祉や学校などの連絡網に利用できて、新しい地域づくりに役立つツールを持つ。これによって上野原市では、少子化・高齢化社会で隣近所が助け合う絆を作ることが出来る。
 上野原市では全家庭が安心で公平なネットワーク社会づくりへの展望を持つことが出来だけでなく、アナログTV放送が終わった後のデジタルTVの電波状態がよくない山間の集落やビル影の住宅でも地上デジタルTVがきれいに受信できるだけでなく、高速インターネット環境が整備される。
E 合併特例債を活用する情報基盤整備事業による市の光ファイバー回線以外の方法で地上デジタルTVの受信と高速インターネット環境の整備と情報ターミナルによる地域社会づくりを進めることは不可能である。世帯数10000戸の上野原市では大手CATV企業は採算に合わず、参入しない。参入してもTVが見れるだけでインターネットは出来ない。NTTは原則200戸以上の契約がなければインターネット用の光ファイバーは引いてくれない。たとえ引いてくれてインターネットができてもTVは見られない。
 これまで頼りにしてきたテレビ共和会など地元のCATV組合の場合は、第3セクター法人を設立してCATV事業を開始することが条件になる上、総務省からの補助金が全事業費の1/4〜1/3しか交付されないので13〜15億円もの大金を組合員が負担しなければならない。上野原市ではできない相談である。
 電波状態がよいところに住んでいる個人世帯では、これまで通りインターネットや衛星放送で対応することは可能であるが、電波環境の悪い山間地域やビル影の家庭では地上デジタルTVが映らないし、高速インターネットはできない。
F 奈良田市議の議会質問に対する市長答弁によると、大月市の家庭では、地デジの視聴のための加入金が73,500円、工事負担金は山間地で15万円〜21万円、NHKの視聴料金以外に合計22〜28万円が必要になる。これに対して上野原市では加入金と工事負担金に関する限り無料で、NHKと民法のテレビを見るだけならNHKの視聴料金は別にして月1,050円をUBCに払えばよい。
G 上野原市の光ファイバー事業は、有利な合併特例債を利用して、2011年のアナログTVの放送停波・地上デジタル放送への切り替えへの対応とインターネットの地域格差を解消するだけでなく、情報ターミナル(情報告知端末)を活用した行政告知や自治会の情報伝達ができる未来志向のすばらしい計画である。
H 上野原市の情報通信基盤整備事業は企業にとっても必要不可欠な計画でもある。上野原東京西工業団地が平成19年に一気に完売となったのはその証拠である。
I 放送電波とインターネット環境の整備は国の喫緊の大テーマである。総務省は、第3セクターによる上野原市方式は、民間の資金と知恵を活用するモデルプランと位置づけて、上野原市の情報通信基盤整備事業を認可し、合併特例債の活用を認めた。
J 上野原市では、平成19年の4月に市の光工事を完成させて、UBCのCATV事業をスタートすることになっていた。しかし、電柱土地地権者の反対で光ケーブルの敷設が予定通り進められず、UBCのサービスは開始できなくなった。この時、総務省は平成19年7月末まで事業延長を了解し、さらに7月末には平成20年の3月末まで待ってくれることになった。
 多くの市民は、総務省が2度の事業延長など甘い考えを許すはずはないと思っていた。よく考えると、上野原市の光事業は、総務省が国策として推進する『ユビキタスジャパン』政策そのものに乗った事業である。その上に、上野原市は地場の民間企業がチームをつくり、リスクを負担し、行政と協働し国策に即応した。総務省にとっては上野原市の光事業は、今後の政策展開に必要とされるものなのだ。
K 上野原市の情報通信基盤整備事業は『民活』によって市のリスクと市民の家計負担を少なくした。この発想は卓越したものである。上野原市方式の仕掛け人の存在が感知される。
L 上野原市の光事業は、単純にデジタル放送を視聴するためにあるのではない。インターネット環境と告知端末と呼ばれる情報ターミナルが提供され、全家庭が同じネットワークで結ばれる。地域のコミュニケーションが直接民主主義的な形態に変わる。市民の個々の要望や意見は集約されて、市政に直接反映されることになる。
 例えば、今回のような光事業計画は、行政テレビチャンネルで繰り返して市民に説明ができる。市民は説明会に会場まで出向かなくても家にいて説明が聞ける。反対論者と賛成論者はテレビ中継で問題点を議論ができる。賛成か反対かを情報ターミナルでアンケートを取り、集計結果を報告すれば、その後の事業執行はスムーズに行き、光事業や光活用に協力するボランティアも出てくるはずだ。上野原市の姿が一変する時代が迫ってきている。
M 情報通信整備事業は思わぬ反対運動に遭遇したが、『市と議会の壮絶な努力』により、すでに光幹線が敷設され、各家庭への引き込み線工事の段階に到達した。平成20年早々には、UBCによるデジタルテレビ放送受信と高速インターネット、IP電話の運用が開始される。国策のユビキタス社会の構築を目指して、上野原市は新市構築の第一歩を踏み出すことになる。
 残念なのは、第1期と2期工事の該当地区で、反対運動に惑わされて光ファイバーは要らないとする家庭がいまだに存在することだ。反対を撤回するから平成19年12月末日以降に引込み線と情報ターミナルを設置して光サービスを受けたいと申し出ても、10万円程度の負担が発生することになる。
 上野原市は、民間活力を利用して、国策に乗り、豊かな街づくりの基盤を確立した。これこそ、この厳しい時代に対応する上野原市の真の姿である。もう誰にも止められない。

上野原インフォメーションの情報の質

 『NEXT氏』の論考は、事実を追う新聞記者のものではなく、記者が掘り起こした事実をもとに論考を展開する論説委員の域をも越えた水準の論考であると私は評価しています。地域の発展と人々の生活の向上をひたすらに願うアメリカのローカルペーパーのオーナー兼主筆の論考だと私は思っています。
 アメリカには日本でいう全国紙はありません(主要都市でニューヨークタイムスとウオールストリートジャーナルが手に入るに過ぎない)。それぞれの地域に地域の人々による地域の人々のための新聞があるだけです。

 上野原市に『上野原新聞』はありませんが、『NEXT氏』の論考は『ウエノハラ電子新聞』に掲載されていると考えると分りやすいでしょう。ただ今現在、『ウエノハラ電子新聞』を読んでいる人はインターネットに繋いでいる人達だけでありますが、上野原市の光ファイバーネットワークですべての家庭と事業所が繋がって、みんなが上野原インフォメーションの市民ポータルで天気予報を見たり、地元のニュースを見るようになれば、上野原インフォメーションはある日突然『上野原電子新聞』に大化けすることになります。

 紙媒体の新聞を発行することは大変な資金と人手が必要ですが、インターネット上の新聞は大型コンピューターが必要というわけではなく、印刷機が必要というわけでもなく、朝夕の配達が必要というわけでもありません。読者がインターネットに繋がってくれさえすれば、すべてOKというわけなのです。

 『NEXT氏』が指摘しているように、上野原市では西原・棡原と秋山地域で光ファイバーの幹線工事が完了、各家庭と事業所への引込み線の工事がはじまっています。総務省による検査が終わり次第、UBCのサービスがはじまり、光る上野原市の夜明けが訪れるのです。


新しい製品とサービスが生まれるときの物語と『NEXT氏』への質問

 ここまで『NEXT氏』の論評を紹介し、その意味を述べてきましたが、『光る市民の街への展望』に入る前に、私は『NEXT氏』に対して質問したいことがあります。それは『NEXT氏』が『上野原市方式の仕掛け人の存在が感知される』と記している点です。

 私は新しい製品とサービスが生まれ出るときには、
@ アイディアが誰かの頭に中に生まれ、世のため・人のため・場合によっては会社のために役立てたいという意志に触発されてアイディアがコンセプトに変形する、
A コンセプトがデザイン(設計)の活動によって形を与えられ、プロトタイプになる、
B 製品の場合はプロトタイプが開発活動によって量産スペックに変形する、サービスの場合は開発活動によって実行計画に変形する、
C 最後は、製品の場合は工場で生産活動が行われ、サービスの場合は計画が実行に移される
 という4つの段階を経て、新しい製品とサービスが世の中に現れるということです。

『光る市民の街への展望』

 なぜこの点を質問するのか。その理由は、情報整備事業のアイディアを誰がどのように着想し、それを誰がどのように形にしてプロトタイプを作り上げたのか、さらに誰がどのように実行案として纏め上げたのかが十分に見えていないからです。

 私は先に第7WEB教室の第36講で、 「平成18年初夏に行われた『通信情報基盤整備事業』の説明会を私は4ヵ所で傍聴し、根強い反対論があることを知っていた」と記していますが、その時に、説明会の出席者の中に『このような有効な事業に私も参加したかった』という率直な気持ちがあることを感じ取っていました。

 『NEXT氏』が述べているように情報基盤整備事業の反対派も『光ファイバーはすばらしい!!』と変身しているのです。私は『光ファイバー計画のコンセプトとプロトタイプ作りの過程のどこかにボタンの掛け違いがあった筈だ、それはどこなのかを明らかにすることが『ウエノハラユビキタス社会』を前にして必要とされていることだ』と考えています。



2008−2−10   谷口ウエノハラ研究室  谷口 文朗TN






『光る市民の街への展望』

第38講 『上野原インフォメーションの情報の質と未来像』−その3


10月に入って『NEXT氏』の論点が未来への展望に切り替わった
 
 10名を越える人達の名前が記された『青ビラ派』と呼ばれる市民の会の新聞折込戦術に対して『孤軍奮闘』する『NEXT氏』のエネルギーがどこから湧き出てくるのか、その源泉は、「上野原市の将来を光り輝かせる筈の光ファイバー計画が理不尽な反対運動によって潰され、上野原市に『光りなき暗黒の未来』が訪れるのを何としても阻止しなければならない」という『郷土愛』であったと私は思っています。

 孤軍奮闘を続ける『NEXT氏』に真福寺の和尚様が8月の時点で『真福寺通信』という市民の会と同じ新聞の折込チラシというメディアで援軍を送られたことは画期的でしたが、次いで奈良田議員が9月の議会質問を通して、@隣接市町村の計画と上野原市の計画の負担額の大きな違いと A反対派の妨害工作で光ファイバー工事が滞っている電柱の数についての市長答弁を引き出されたことが『NEXT氏』の主張を支援する大きな要素となりました。

 この頃から『NEXT氏』の論調は『光ファイバーによって上野原市に光り輝く未来が開かれるという展望』に重点が移りはじめました。

上野原市のユビキタス社会に向けた『NEXT氏のイメージ』

 まず、四国の徳島県上勝町で、『パソコンなんてとっても無理だ』と上野原市のご老人がいわれそうな年配のご婦人方が『葉っぱビジネス』によって生き生きと生きている様子を紹介した『NEXT氏』の昨年10月の寄稿を紹介します。少し長いですが、インターネットでは字数制限がありませんから、全文を転載します。

 上野原市では、聞くところによりますと『年間500万人が訪れる談合坂パーキングエリアの朝取り野菜の販売が年間1億円に迫り、山間の野菜づくり農家に新しい励みが生まれている』と言うではありませんか。野菜づくり農家の間ではバーコードを読み取ったり、パソコンで1軒1軒の農家の売上高を集計したり、パソコンが生活と仕事に入り込んで来るユビキタス社会の第1歩が上野原市の中山間地ではじまっている筈なのですが・・・・・!


2007年10月9日:上勝町と上野原市の情報通信基盤整備事業

 徳島県の山の中の上勝町(かみかつちょう)は人口2000、約850世帯で、ホームページを見るだけでも町づくりのアイデァが満載された楽しそうな町である。

 上勝農協が提案した『すきま商法』(ニッチ商法)の『葉っぱビジネス』により町起こしが軌道に乗った町で、この事業に参加するメンバーは老齢の農家の婦人が多く、年間1000万円を売り上げる主婦もいる。
 彼女たちはパソコンを活用し、第3セクター『いろどり社』の情報提供により市場の動向を把握し、天気予報を見て高値で売るように出荷調整し、受発注の業務をこなす。時には飛行機で京都や東京の高級料理店まで足を運んで美味しいものを食し、情報収集や営業活動までもする。
 彼女たちには働き甲斐と楽しみが生まれ、高齢化や医療、介護、年金問題はどこ吹く風のような上勝町に変わらせた。「葉っぱビジネス」は山間部の過疎地に活力を注入し、さらにそのノウハウが好循環を誘発して町起こしが加速され、全国で最も注目される自治体として視察団や観光客が押し寄せるまでになった。

 この町では、いろいろな町起こし事業が展開されている。
 タクシー構造特区を申請し、有償ボランティアが輸送サービスを始めた。ダイオキシンで町の焼却炉が使えなくなったので、行政がごみを34に分別することを仕掛けて、議会は「ゴミゼロ宣言」を出すまでになった。したがってこの町では指定ごみ袋は売れない。

 役場の支所を郵便局内に設置し業務委託をした。2つの診療所は公設民営化した。
 地域通貨を実験中で、温泉を沸かす燃料は廃木材を使うことにして、町民はルール通りにクギを抜き結束して温泉に持ち込む。地域通貨を受け取っては町の商店で買い物をする。ポイントカードまで発行し管理データで事業運営をする。

 
町民はリユース食器を使い、時に応じて集会して、ブレンストーミングで町起こしのアイデァを出し合う。 行政は良いものは取り入れ、第3セクター方式で事業化し雇用の促進と定住化を図る。
 驚くべきことに、最近マイクロソフトと提携して、過疎地向けのソフトウェアーを協同開発するまでになった。


 
しかし、人口減は続いて、町の財政も厳しくなる一方だ。5つの第3セクターはトータルでは黒字だが赤字の事業もある。一方で『葉っぱ御殿』が建つほどに町民生活は豊かになった。町の積極的な施策のおかげで、町民の懐には多大な投資効果が転がり込んできている。

 上野原市と同じような情報通信基盤整備事業は昨年から始まりこの8月に運用を始めた。合併をしないから特例債は使えず、事業費の9億1千5百万円のうち、町が1/2の4億5千8百万円を、県が1/6、国が1/3を出しあって光ケーブルを敷設し、四国電力の子会社の徳島ケーブルテレビが事業運営をしている。告知端末はなく、デジタル放送の視聴だけで加入金が5万円、月当たり使用料の2700円を各家庭は負担する。上勝町は人口が上野原市の1/14なのに、4億5千8百万円を負担した。

 上野原市の負担は5億円で、各家庭の加入金はゼロとなり、テレビ視聴だけでは使用料に月1050円を負担する。上勝町の施策はデジタル放送の視聴に対応している。上野原市の場合は告知端末が上野原ブロードバンドコミュニケーションズ(UBC)という上野原市の地元企業が立ち上げた会社から無償提供され、全家庭が安心で公平なネットワーク社会づくりへの展望を持つ。

 上勝町の町起こし行政は、上野原市より優れていることを万人は認める。しかし、ことこの情報通信基盤整備事業に関する限りでは、上野原市の行政の方が格段に優れた街づくりであることが容易に理解できる。


 
上勝町が特筆されているような自治体形成を推進できたのは、上勝農協の旧職員である横石知二氏という仕掛け人の功績が大きい。「葉っぱビジネス」が成功し、町民が発奮してアイデァを出し合ううちに、玉突き現象が起こり仕掛け人が次々と現れて町が活性化している状況が見て取れる。

 
翻って、わが上野原市の情報通信基盤整備事業を見ると、上野原市方式の仕掛け人の存在が感知される。民活を利用し、市のリスクと家計負担を少なくする上野原市方式の第3セクターの発想は卓越したものであり、間違いなく上勝町の仕掛け人を凌いでいる。

 上野原市においては、「葉っぱビジネス」と同じように「光る街構想」から、玉突き現象が始まることを期待している。


2007年10月16日:総務省の理解(総務省は2度も事業開始を待ってくれた)

 いま国づくりの中心省庁は総務省である。構造改革と『ユビキタスジャパン』政策で、国を再建する使命に燃えている。財政再建も地方分権もユビキタスのICT(インフォメーション&コミュニケーション テクノロジー)を活用しなくては成立しない。
 上野原市では、平成19年の4月から市の光回線の完成を待って、UBCのCATV事業がスタートすることになっていた。しかし、青ビラ派の反対で光ケーブルの敷設ができなかった。その後、総務省は7月末まで事業延長を了解し、さらに7月末には平成20年の3月末まで待ってくれることになった。多くの市民は、総務省が2度の事業延長など甘い考えを許すはずはないと思っていた。

 よく考えると、上野原市の光事業は、総務省が国策として推進する『ユビキタスジャパン』政策そのものに乗った事業である。さらに、総務省にとっては、合併特例債を道路やトンネルや建造物などの箱物や長物に使われるよりも歓迎すべき事業でもあることが想像できる。
 
  その上に、民間活力の地場企業がチームをつくり、リスクを負担し、行政と協働し国策に即応した。
上野原市の地域力は、地方の時代のさきがけに位置すると評価されてもよい。

 総務省の意図と上野原市の光事業には同質の価値感が存在するように思われる。総務省にとっては上野原市の光事業は、今後の政策展開に必要とされるものなのだ。


 
総務省は4月過ぎには、反対運動を考慮して事業認可を不採択にする雰囲気を持っていた。反対運動に国会議員や地方議員が動いたことも影響がある。
 しかし、総務省は上野原市の反対運動の推移をよく観察していた。7月末前の時点で反対運動がピークになったことを認識していたのではなかろうか。

 事実として、反対運動は市民が光事業の理解を深めて行くのにつれてヒステリックになり、市民の反感を買い折込紙は読まずに捨てられた。行政当局が電柱地権者に説明を徹底したころから急激に失速した。


2007年10月18日:待ち望む光る街

 上野原市の光事業は、単純にデジタル放送を視聴するためにあるのではない。インターネット環境と告知端末と呼ばれる情報ターミナルが提供され、全家庭が同じネットワークで結ばれる。地域のコミュニケーションが直接民主主義的な形態に変わる。市民の個々の要望や意見は集約されて、市政に直接反映されることになる。

 例えば、今回のような光事業計画は、行政テレビチャンネルで繰り返して市民に説明ができる。市は、『アナログとデジタルの違い』から始まり、『光ファイバーとは何ぞや』、『終端ボックスとは、再送信同意とは、合併特例債の使途について、予算案について』などなど、詳細にわたって放送する。市民は説明会には会場まで出向かなければならないが、光活用が開始されれば家にいて説明が聞ける。市民の意見や不明点はネットなどで質問を集め、個々の説明を放送で流せばよい。

 反対論者や賛成論者はテレビ中継で問題点を議論する。やがて市民の知恵が集積し、問題点も解決し、計画内容も高度化される。市民の意見を盛り込んだ計画が完成すれば、すべてをオープンにして、賛成と反対を告知端末でアンケートを取り、集計結果により議会提案を決めればよい。

 その後の事業執行はスムーズに行き、光事業や光活用に協力するボランティアも出てくるはずだ。
 上野原市は、光る街に大変身する時代が迫ってきている。待ち遠しいことである。


2007年12月20日:上野原市の真の姿

 上野原市と上野原市市議会が目を見張るようなホームランをかっ飛ばしている。上野原市立病院の指定管理者制度導入は、情報通信整備事業に次いで、国策に乗った取り組みとして、全国の自治体にさきがけをする。いくら賞賛しても足りるものではない。
 情報通信整備事業は思わぬ反対運動に遭遇したが、『市と議会の壮絶な努力』により、すでに光幹線が敷設され、各家庭への引き込み線工事の段階に到達した。平成20年早々には、UBCによるデジタルテレビ放送受信と高速インターネット、IP電話の運用が開始される。国策のユビキタス社会の構築を目指して、上野原市は新市構築の第一歩を踏み出すことになる。


. 特筆に価するのは、この事業が合併特例債を利用するために、家計負担が大いに軽減されることだ。上野原市としては、このことを大いに喧伝する訳には行かないので、こっそり書くが、実際は他の国民の税金を使い、上野原市民に利益を配分することになるのは事実である。

 また、この事業による投資効果を考えると、反対する理由はどこにも存在しない。ネット市民なら理解は容易である。
 残念なのは、第1期と2期工事の該当地区で、反対運動により光ファイバーは要らないとする家庭がいまだに存在することだ。引込み線工事費と告知端末費用が平成19年12月末日以降は市の事業費の対象にならなくなる。期限の利益を失った家庭が光サービスを受ける場合は、平成20年からは有料となり家計負担が10万円程度発生することになる。

 市民の会の反対運動は罪なことをしている。この光事業を政争に取り込んだのは大きな過ちだ。市立病院の再建を優先せよとする主張も、今回の指定管理者制度の導入により泡沫議論として消滅する。

 上野原市立病院の公設民営化は、医師不足と赤字体質を解消する。ここでも、上野原市は国策である自治医科大学制度に見事にタイアップした。どこの自治体でも上野原市のような発想が可能であるとは考え難い。病院問題の解決に向けても、上野原市の発想は最高度で優秀であると言える。平成20年の4月ごろからは医師の派遣を始めるのもお見事である。


 
上野原市は、民間活力を利用して、国策に乗り、豊かな街づくりを開始している。これこそ、この厳しい時代に対応する自治体上野原市の真の姿である。もう誰にも止められない。


 平成20年1月30日現在、『NEXT氏』の寄稿はここで終わっています。引き続き寄稿されることを期待して、これまでに私が上野原市の光ファイバー事業について『NEXT氏』から学んだ事柄を取り纏めましょう。


2008−2−3   谷口ウエノハラ研究室  谷口 文朗TN





『光る市民の街への展望』

第37講 『上野原インフォメーションの情報の質と未来像』−その2


『NEXT氏』から教えられた『信じられない現実』

 私は、『政』(まつりごと)は、すべて、リンカーンが述べた『人民の、人民による、人民のための政治』(市民に関わる事柄を、市民の手によって、市民のために行う)という民主主義の原点に立って行われるのが当然と思っていますので、前回紹介した『NEXT氏』の洞察、すなわち、
     青ビラ派が仕掛けている反対運動は、1年後の市長選で市長の椅子を奪取するための政治活動である。
     光事業に照準を当てているが、青ビラ派の本当のねらいは反市長派勢力の増強にある。

 という反対運動の理由は『信じられなーーーい』の一言に尽きます。だからと言って『私には関わりないことで・・・』と言って放り出すことも出来ません。私も市民なのですから。


市民の目線に立った光ファイバー計画の評価

 『NEXT氏』の見解は、上野原インフォメーションのHPの左側の『市民のHP&BLOG』の『ハローNEXT』の中に書かれています。それを左クリックしてPC画面に呼び出して、市民の目線で書かれている『NEXT氏』の鋭い洞察に引き続き耳を傾けます。
 私は『NEXT氏』の見解は、『市民に関わる事柄を、市民のために』という立場で書かれ、その発想は『上野原市の将来を思う郷土愛』から生まれていると思っています。


2007年7月23日:事業中止は市民の不幸

 上野原市の情報通信基盤整備事業が中止になった場合は、市民に次のデメリットが生じる。
@ デジタル放送を見るだけでも家計の負担が大きくなる(上野原市では、デジタル放送を見るための初期費用の負担を、家計に代わって市が負担することになり、市民家計が助かる。自治会費にデジタル放送の視聴料が含まれる地域は、その分が軽減される筈)。
A 電波環境の悪い山間地やビル影でデジタル放送が視聴できない(各家庭は、UHF、CS、BSアンテナを立ててデジタル電波を受信することになるが、これは電波環境がよいところだけの話である)。
B 山間地はブロードバンド社会から取り残される(NTTや東電は採算が合わないところには光ファーバーを引かない)。
C 上野原市の地域間格差が拡大する。
D 上野原市の商工業の発展が阻害される。
E 合併特例債は使えない(上野原市に損害賠償責任が発生し、市民サービスが低下する)。

 この事業に反対する理由は何にもない。中止した場合は市民に不幸が訪れる。

2007年7月24日:認識すべき経済効果

 市の投資額:工事が遅れているが、総額で17億6千万円程度。うち、国が約12億3千万円と利息を合併特例債で支援してくれるので、市の債務は5億3千万円程度となる。これを15年に分割して支払うと年間約3千5百万円の返済になる。

 投資効果:
@ 市内の立地企業が増えて市財政は雇用と固定資産税などにより増収となり、返済計画に基本的なメドが立つ(上野原東京西工業団地は平成19年に一気に完売となった!:谷口注記)。
A 市は放送と通信を活用して行政告知・防災・防犯・医療・介護・教育など多岐にわたる市民サービスを充実できる。ペーパーレス、情報の適時・的確な伝達などによる経済効果も生まれる。
B 商工業の振興が図られ経済効果が期待できる。上野原市のある企業は、インターネットの受発注方式に切替て、営業担当を1人減らしたため、年間約1千万円の経費削減が実現した。
C 総務省試算によれば、インターネット家庭は150万円/年の経済効果が生まれる。上野原市全体に生じる投資効果が10年間で300億円と試算した市民もいる。総務省試算のインターネット効果をそのまま当てはめると、市民の利用家庭を1万世帯の1/5とすれば、300億円(150万円×2000世帯×10年)となる。
D 大月市と都留市は市が介在せず共聴組合がデジタル放送に対応する予定なので、光ファイバーが既設の地域の加入料は4万円程度、光ファイバーを新設する地域は10万円から20万円の支出が全家庭に発生する。両市とも総額で15億円から18億円程度の市民負担が加入料として発生すると予測できるが、上野原市では無料である。
E 子供たちにインターネット社会の教育機会が与えられ、将来の投資効果を期待できる。
F 市内電話無料化、各種の市民サービス価値、告知端末の効果など市民家計に大きなメリットが生まれる。

 市民は、上野原市の情報通信基盤整備事業の投資効果を認識すべきである。

2007年7月25日:この事業が中止されて喜ぶ市民はいない
 
 アナログTVの放送停波の2011年が近づくにつれてこの事業の正しかったことが明白になる。この事業が中止されるようなことがおこれば市民は不明を反省することになる。
 青ビラ派も喜べない。逆に市民から非難を浴びて大きなダメージを受ける。
 なぜなら、

@ この事業が中止となったら、山間地やビル影の市民はデジタル放送が視聴できないことに気付く。市民はデジタル放送を見るだけで家計負担が発生することに気付く。
A この事業が完成したら、市民は合併特例債のお陰で家計負担が軽微なことに気付く。
インターネット社会のサービスを享受して、投資効果を認識する。
 
 2009年初頭の市長選挙がこの事業の対立軸になり、選挙戦の言論で市民はこの事業の真相を理解することになる。


2007年7月25日 市民の会の意見広告vol.14 に反論する

 
黒文字=市民の会(青ビラ派)の意見広告  青文字=NEXT氏の反論

 市民の会の意見広告vol.14 意見広告の表題 「いつまで続く 毎年5億円の支出!!」
    副題1.「光ファイバーはすばらしい!! しかし、市が持つべきものではありません!!!」


青ビラ派の主張1: 自治体(上野原市)が光ファイバー網を持つ必要があるのか?
NEXT氏の反論: あるとも。「光ファイバーはすばらしい!!」と書いておいて何をか言わんやだ。
 上野原市の光計画の意義は、市民負担を軽減し、放送と通信の時代の地域間格差を解消するところにある。地方の時代の自治体のあり方として賞賛に値する事業だ。デジタル受信に関しては山間地域やビル影の家庭では福音となる。高速インターネットは莫大な経済効果が戻ってくる。子供たちには、IT化の世の中に人材育成の手段として大いに有効である。行政の市民サービスは画期的に充実する。告知端末の活用で介護世帯は大いに助かる。安全と安心の街づくりのために、防災・防犯システムの構築も可能だ。携帯電話やワンセグの山間地利用までも展望される。投資効果はまだいっぱいあるぞ!!
 早くやるほど投資効果は大きくなる。 妨害により市民が失った利益は大きい。
 国は民活を利用してデジタル社会に対応する方針である。上野原市が合併特例債を利用することも国策にピッタリだ。
青ビラ派の主張2: 東電やNTTにお任せすればインターネット環境が実現する
NEXT氏の反論: それでは、お願いして西原や秋山に実現してほしい。東電やNTTはインターネットだけだ。デジタル放送はどうするのだ。(秋山地区はNTTに光ケーブルの敷設を断られている)
青ビラ派の主張3: 行政は敷設済みの地域イントラネット幹線に5億円も使っている
NEXT氏の反論: 行政の施設を結ぶイントラネットは不要だとする暴論だ。国は電子政府を目指し、電子自治体を推進して、国づくりを目指している。IT化にしなければ市の合理化はできない。日本の企業が事業の再構築をIT活用で実現し、平成不況を乗り越えたことを忘れてはならない。 幹線に5億円投資したからこそ、この事業が展開出来て、市民負担が減るのだ。
青ビラ派の主張4: 未来永劫5億円以上の税金を投入し続けなければならない。
NEXT氏の反論: 光ファイバー網はUBCに貸し出すのだ。貸料でUBCが保守管理をする。未来永劫毎年5億円などあろうはずがない。道州制がすぐ近くに来ているし、税金を投入する必要もない。
青ビラ派の主張5: 民間にお願いすれば市民に重い負担(年間一世帯あたり約50,000円・10000世帯)をかけずに済む。
NEXT氏の反論: どこの民間にお願いするのか。10000世帯に進出する企業などない。具体的な民間名を挙げて提案をして見ろ!! テレビを見るだけでは1,050円×12ヵ月=12,600 で済むのではないか!! インターネットに限っても利用している家庭では年間 50,000円以上支払いをしている現状がある。
青ビラ派の主張6: 地上デジタル放送化は国策の1つとして行っている事業である。したがって今テレビを見ている方々が引き続き視聴できるようにしてくれるのです。
NEXT氏の反論: 国策に反対し、妨害しておきながら、なぜ国策を信じるのか!! 上野原市の計画は、国策に沿って合併特例債と民間活力を利用する計画なのだ。
青ビラ派の主張7: 今年度中には相模湖の嵐山にデジタル放送の中継基地が設置される。ここ上野原においても設置後は今以上にデジタル波の受信感度がよくなる。
NEXT氏の反論: アンテナとその工事費を全家庭が負担して視聴せよということか。山間地までデジタル波を受信できると保証できるのか。
青ビラ派の主張8: 「光ファイバー網を市が整備、UBCに加入しないとテレビが見られなくなる!」といたずらに市民をあおりたて、−−まるで独裁国家のようだ。
NEXT氏の反論: オーバーな表現ではないか。民間企業のUBCに利益誘導の発言をするなど、不用意な公務員など居ようはずがない。逆に、あなた方の発言と行動は、市の計画を遅延させて市民に実害を与えている。4月以降の損害賠償責任があなた方に発生している。
 
 「光ファイバーはすばらしい!!」と変身したなら、建設的な代案を民間会社やNTTなどに相談して詳細に市民に提案するべきだ。

2007年8月5日:真福寺通信

 真福寺住職の新聞折り込みが入った。市の情報通信基盤事業の意義をやさしく解りやすく書いて下さった。反対派からの脅迫電話も予想されるが、勇気のある行動に感謝したい(谷口注記:『NEXT氏』の発言はインターネットに繋いでいる市民にだけしか伝わっていませんでしたが、真福寺の和尚様が独立不羈の立場から活字メディアで光ファイバー賛成の主張を新聞に織り込まれたことは私を勇気づけることでした。互いに独立した立場から述べられる2つの見解が一致する時、私はその見解の客観性が確認される上で必要なことであると考えています)。

2007年8月6日:横内知事の出番かな?

 青ビラ派は大きな勘違いをして、この事業を政争の具にした。ユビキタス社会を理解せずに抗争を仕掛けたのは明らかなミステイクだ。当初は説明不足が理由で市民と議会までが青ビラ派の主張に同調し圧倒的に優勢だった。それも県議選までだった。
 時が経過し、市民も議員も段々とこの事業の理解を深めてきた。デジタル放送を他所で視聴して画像の美しさと音声の心地よさを享受した。インターネットの価値も少しずつ解ってきた。病院問題の多難さもメディア報道でよく理解できた。


 光事業の負荷を市立病院問題に転化するトリックの意図にも気がついてきた。市民負担が軽減されることも解った。他の市町村のデジタル放送対応の事情も知ることができた。・・・・・(以下省略)

2007年8月10日:この事業に限り、上野原市の行政当局を信じて正解

  すでに大都市では、国費の投入と民間の投資でユビキタス社会構築の基盤整備が進行している。2006年から大都市ではすでに地デジの時代に入っている。高速インターネットや携帯電話やワンセグの電波環境はすでに整備済みで、経済弱者にはチューナーを無料で配布する計画まである。ユビキタスへの整備は早ければ早いほど大きな経済効果を呼び込んで、その地域は勝ち組となって残る。整備の遅れた地方は、経済格差だけでなくすべての面で格差社会がますます進行する。地方の時代どころではない、事実はすでに上野原市を含めて地方が切り捨てられて崩壊が始まっている。

 
上野原市は、地方切り捨ての状態を回復し、勝ち組に残るためにいち早く動いた。繰り返すが、情報通信整備は早いほど自治体としては勝ち組となる。有利な合併特例債を利用し、地デジだけでなくインターネットの地域格差を解消するだけでなく、市民の光インフラ活用による地域力のアップを計る未来志向の基盤整備を決めた。

 国においても、放送電波とインターネット環境の整備は喫緊の大テーマである。
総務省としても、第3セクター上野原市方式は、民間資金と知恵の活用事例として国の大方針に適う。総務省は上野原市方式を自治体のモデルプランと位置づけ、上野原市の情報通信基盤整備事業の申請を認めた。


 
また、合併特例債は地方の時代をスタートさせるための財源として大いに有効である。上野原市が活用する合併特例債の7割は上野原市以外の国民が負担する。上野原市が遠慮すると合併特例債を他の自治体に持って行かれ、上野原市民は逆に彼らの分まで負担をしなければならなくなる。平成の大合併政策は、明らかに自治体の勝者と敗者を区別している。
 
説明不足があるにしても、上野原市の行政当局は実にうまい計画を立て、地方の時代を生き残るための正しい姿勢を示した。

 今までの事業はともかく、この事業に関する限り、上野原市の行政当局を市民は信じて正解だと判断する。


2007年8月19日:弱者でなく強者になる (省略)
2007年8月17日:第3の立場で市民の会 (省略)
2007年8月18日:合併特例債の損得 (省略)
2007年8月20日:説明責任(省略) (省略)
2007年8月20日:光事業と市立病院 (省略)

2007年8月22日:国策を待った方よいとする意見

 「上野原市が光事業をしなくても、2011年までに国策でデジタル放送を視聴できるようにしてくれる。だから、それまで待った方がよい」とする意見があるが、それは正しい認識ではない。なんとなれば、上野原市の今取り組んでいる光事業そのものが、ズバリ国策だからだ。
 総務省は2011年対策として、大手企業の進出が難しい自治体に、合併特例債や特別交付金や農村振興資金などを当てて、デジタル放送の難視聴地域を解消することを目指しているのであって、「待った方がよい」と考えていたら、有利な合併特例債はなくなってしまう。後は負担率の多い交付金で対応するか、または、何もしないでいるしか方法はない。
 上野原市では合併を機に、国策に一番目に乗って、上野原市方式で申請し受理され、事業が進行しているのだ。待っていたら、デジタル放送も視聴できず、山間地ではインターネットも出来なくなる。


2007年9月17日:サイレントマジョリティ

 上野原市の光事業について、本気で不要だと思っている市民は少ないのではないかと思う。情報化時代に生きて行くためには、高速インターネットやデジタル放送のインフラは絶対的な必要十分条件であり、この事業が中止されたら上野原市の発展はありえない。
 事業の進め方についての異論はあるにしても、市民も議会も大局を見失ってはいけない。
 異論の根本には、政争や利権や不明や妬みまでが見え隠れする。その上に、上野原市民に特有の「沈黙する市民」の姿がある。
 不明は納得するまで理解を深める必要があるが、反対論の軽薄な論理に単純に呼応すれば、将来に悔恨を残すことは必至である。いま、サイレントマジョリティは沈黙を破り正論に組する時期に来ている。上野原市の光事業について、本気で不要だと思っている市民は少ないのではないかと思う。情報化時代に生きて行くためには、高速インターネットやデジタル放送のインフラは絶対的な必要十分条件であり、この事業が中止されたら上野原市の発展はありえない。
 事業の進め方についての異論はあるにしても、市民も議会も大局を見失ってはいけない。
 異論の根本には、政争や利権や不明や妬みまでが見え隠れする。その上に、上野原市民に特有の「沈黙する市民」の姿がある。
 不明は納得するまで理解を深める必要があるが、反対論の軽薄な論理に単純に呼応すれば、将来に悔恨を残すことは必至である。 いま、サイレントマジョリティは沈黙を破り正論に組する時期に来ている。


2007年9月17日:白ビラと青ビラ (省略)

2007年10月2日:奈良田市議の発信

 奈良田市議が9月定例議会の一般質問の内容をHPで公開してくれた。市民におもねる態度もなく、単純に質疑の記述に終始しているのも大いに好感が持てる。
 特に光事業の遅延に関して行政の怠慢を明確に指摘し、奈良市長から市民が待望していた答弁を引き出した。


奈良田市議9月定例議会報告:奈良田市議HPより奈良市長答弁を谷口引用
奈良市長答弁:現在の進捗状況ですが、秋山地区は幹線工事が終了し、各世帯への引込み工事に入っています。他の地域、上野原入谷地区、西原地区も順次工事に入っています。
このため、電柱土地地権者のご理解にむけて全力で取組んでいます。また電柱の承諾状況ですが、現在の使用予定の電柱は、全部で約6200本、うち同意を頂いた本数が約5150本、同意を頂けない本数は約150本、交渉中が約900本となっています。
 
  これまでの議会の混迷ぶりと議員の姿勢には大きな失望を感じていたが、奈良田市議の発信により議会と市民の距離が一歩近づいた思いがする。光る街を創るために、議員の動きを注視したい。


2007年10月3日:光る街を創る

 奈良田市議の議会質問で明らかになったが、大月市の家庭では、地デジの視聴だけで加入金が73,500円、工事負担金は山間地で15万円〜21万円が発生する!!!。
 上野原市はどちらもゼロでおまけに高速インターネット環境と無償の告知端末が提供される。地方の時代の市町村格差は、まず合併特例債の活用により顕在化する。


2007年10月3日:議会質問の作文 (省略)

2008−1−27   谷口ウエノハラ研究室  谷口 文朗TN





『光る市民の街への展望』

第36講 『上野原インフォメーションの情報の質と未来像』−その1

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『私にとっての上野原インフォメーションの情報の価値』

 私はこの第6WEB研究室『ウエノハラ 光社会 の創造と未知との遭遇』の中で4回にわたって『新聞と上野原インフォメーションの情報の違い』を形式的側面から比較してきましたが、今回、『光る市民の街への展望』という第7WEB研究室を起こして、『上野原インフォメーションの情報の質と未来像』について私の心の鏡に映っていることを書きとどめます。

 私が上野原に新設された大学に飛び込んできたのは1992年で、すぐに住民票を上野原に移して町民税を払いはじめましたが、住まいは松留の職員宿舎で、大学勤務1年目は月〜木の勤務が終わると川崎・宮前平の家族のもとへ飛ぶように帰っていました。ですから、町の広報や回覧板は儀礼的に見ただけで、地域社会とのつながりは全くありませんでした。

 その後、1996年に、大学と上野原町商工会が話し合う中で『地域創造センター』という会合が生まれて、上野原町の課題について知識・経験を積まれた地元の数名の方々と意見を交換し、論議を重ねるようになりましたが、『将来のあるべき姿についての議論』が全てで、上野原の地域社会の日々の出来事を左右する事情には無縁の生活を送っていました。

 私は1959年に東レに就職して、翌年からずっと東京での本社勤務が続く中『関西弁を保存』してきました。これは会社勤務を終えた後、いつの日か東レ発祥の地であり、私を育んでくれた琵琶湖畔の膳所へ戻って、故郷へのお返しをしたいと考えていたためでした。こんな私に上野原で70歳まで勤務する機会が与えられましたので、私は『膳所を上野原に読み替え』て、地域社会のために役立つことは何でも引き受けようと気持ちで、私なりの立場で上野原市の地域の事情に関心を寄せてきました。

 5年前に26回にわたって行われた町政懇談会のうち、了解を得て18回に出席し傍聴したのはこのような理由からでしたが、ここで知り得た地域の情報は『合併についての考え方の説明と質疑応答』が中心でしたから、『日常生活に密着した町政を動かす本音ベースの核心に触れる情報』ではありませんでした。

  その後、合併協議会で合併構想が議論され、平成17年2月に上野原町と秋山村の『対等合併』が実現し、上野原市が誕生、市長選挙、平成19年3月の『通信情報基盤整備事業』による光ファイバー回線工事開始という順序でものごとが取り計らわれましたが、この間『何がどのように取り計らわれたか』については、大学の勤務期間中でしたから、私は『しかるべき事柄が、しかるべき時に、しかるべき手順で、間違いなく取り計らわれている』という立場で安心して見守っていました。

『通信情報基盤整備事業』への反対論の存在

 この間、平成18年初夏に行われた『通信情報基盤整備事業』の説明会を私は4ヵ所で傍聴していましたので、『来るべき時代に備えるこの事業に賛成することはあっても反対する筋はない』と考えていた私にとって、根強い反対論があることを知って、その理由を理解できずにいたのでしたが、ほとんど無風状態に中で行われた昨年1月の市議会議員選挙で『光ファイバー回線の工事』をめぐる賛否両論が選挙という公の場で争われ、『光ファイバー回線の工事』反対をスローガンとした候補がトップ当選するという結果が生まれました。

  私はこの民意を理解することができませんでした。平成18年秋の頃に翌年3月の大学勤務終了を視野に入れて、私は、『谷口ウエノハラ研究室』を構想し、『日常生活に密着した町政を動かす本音ベースの核心に触れる情報』を求めていたのですが、この時に、私は、上野原インフォメーションのインターネットサイトで『NEXT氏の主張』に出会ったのでした。

覆面をしている『NEXT氏』

  『NEXT氏』は覆面をしています。覆面についての私の考えを先に述べます。
  1970年に『日本人とユダヤ人』という本が出ました。その中で『安全と水はタダ』という日本人の常識がまず厳しく糾されたことが記憶に残っていますが、その著者は『イザヤ ベンダサン』 と書かれていました。私はこの著者が 山本書店店主の 山本七平 氏であったと確信していますが、私は実名であれ匿名(ペンネーム)であれ、書かれていることが『私の心の鏡』、すなわち、私の理性と感性に照らして納得できる場合は素直に主張に耳を傾けることにしています。その意味で『上野原インフォメーションのNEXT氏』の主張は市議会議員選挙で示された民意を理解出来ずに暗闇を彷徨っていた私にとって、一条の光となったと言ってよいと思っています。

理解できない民意−光ファイバー工事の遅延と妨害工作

  私が大学勤務を終えて、上野原インフォメーションに寄稿をはじめた4月には、光ファイバー工事が進み、試験放送がはじまる筈でした。これが7月末に延期されましたが、7月末がカウントダウンされる頃になって、光ファイバー事業に反対する『青ビラ派』と呼ばれる人達が所有する地所の立てられている電柱への工事を認めないという動きが表面化し、工事がさらに停頓するという事態になりました。

 「光ファイバー回線工事はその昔行われた電話回線工事となんら変わるところはない、5年先、10年先には電話のような手軽さでPCが使われる『ユビキタス社会』のためのライフラインの工事なのだ」と考えていた私の目には『電話を使っている人なら反対する理由はない』と写っていたのでしたが、私はいよいよ何がなんだか分らなくなりました。

『NEXT氏の情報』で光ファイバー事業が政争の具にされていることが分った!

  『NEXT氏』の発言が私に教えてくれたキーポイントは『反対論は光ファイバー事業を政争の具にしている』というとんでもない事実でした。

  以下に『1点ピンポイント的データベース情報』になり得る上野原インフォメーションの情報を用いて、『上野原市の光ファイバー』問題にピンポイント的に焦点を当てて、この問題に関するこれまでの『NEXT氏』の発言の記録を文責谷口の形で確認します。

『NEXT氏』の発言の確認

  『NEXT氏』の発言は、上野原インフォメーションのHPの左側の『市民のHP&BLOG』のなかで、『ハローNEXT』と目立たないように書かれています。そこを左クリックすると、上野原市の将来を思う郷土愛に根ざした鋭い洞察が延々と下記つづられています。『NEXT氏の心の鏡』を理解していただくために、少し丁寧にその主張を引用します。

 2007年2月13日:上野原市光ファイバー戦争勃発
 2007年2月28日:合併特例債の使途に勘違いアリ
 2007年3月19日:香川県まんのう町と上野原市の比較

  上野原市と同じように香川県まんのう町は、合併特例債を活用して全戸に光ファイバーを敷設して、情報通信基盤整備事業に乗り出す。総事業費は27億円でデジタル放送の難視聴地域解消や情報格差是正に対応する。運営は民間事業者に委託する予定。上野原市との相違点は、IPアドレスを持ち防災や福祉や学校などの連絡網に利用できて、地域づくりのツール機能を持つ告知放送端末の扱いである。

  6900世帯のまんのう町は町が全額負担する。10000世帯の上野原市では、告知放送端末を(株)UBCが全額負担する。そのためにまんのう町の事業費は27億円に膨らんだ。上野原市は18億円で納まる。

 2007年7月17日:デジタル放送が見れなくなる 07.07.29修正 

  光ファイバーの電柱共架を許さない地権者と青ビラ派の実力行使による工事妨害で行政も疲労感が漂う。市民の中からは実現が難しいとの憶測が飛び交っている。
  それでは、この事業が中止となった場合は、上野原市民はどのような方法でデジタル放送を視聴するつもりなのか? 
  市民の意見を聞いてみた。

意見 1: 国に任せておけばそのうちデジタル放送を視聴できるようにしてくれる。
NEXT氏: この意見は正しくない。自治体が事業費の2/3または3/4を用意して国にお願いしなければならないからである。
意見 2: NHKやNTTの大手企業に任せればよい。
NEXT氏: この意見は放送と通信が別々の法体系であることを度外視している。大手CATV企業は世帯数10000戸の上野原市では採算に合わず参入しない。NTTも原則200戸以上の契約がなければインターネット用の光ファイバーは引いてくれない。
意見 3: 組合方式でこれまでと同じように視聴する。
NEXT氏: 上野原市の場合は共聴組合を一本化して、第3セクター法人を設立してCATV事業を開始することが条件になる。上記のように総務省からは全事業費の1/4〜1/3しか交付されない。事業費総額が20億ならば、13〜15億円を組合員が負担しなければならない。上野原市では不可能である。
意見 4: アンテナ受信をする。
意見 5: インターネットや衛星放送で個々に対応する。
NEXT氏: デジタル放送を見るだけなら、意見4.と意見5.は一番よい意見だと思われるが、電波環境の悪い山間地域やビル影の家庭では対応策を見出せない。いずれも初期投資の数万円が必要になる。

上野原市の情報通信基盤整備事業はよくできた計画で、合併特例債の利用で市の負担は総事業費の約1/3で、残り2/3は国(上野原市民以外の国民)が負担する。上野原市は合併したお陰で市民に大きな利益がもたらされることになる。青ビラ派の誘導に乗ってはいけない。この事業が挫折したら大変なことになる。

2007年7月19日:上野原市が危ない

 上野原市の情報通信基盤整備事業が危ない。光ファイバーの敷設を電柱地主が同意しないのと青ビラ市民の会による工事阻止の実力行使が原因。
この事業が中止になると次のような事件が起こると想定される。


@ 総務省は合併特例債の利用を認めない。今後の特例債の利用にも影響が出る。
A 光ケーブル工事業者やUBC、工業団地の販売業者と契約済み事業者から損害賠償を請求される。
B 市の財政事情は急激に悪化する。
C 市長は責任を取り辞職し、市議会は現職の前議員が辞職するか解散する。
D 新市長は建て直しのために、夕張市と似た方法を取る。市職員の人員削減と給料の大幅カット、市民サービスは大幅な値上げとなり、学校給食などは中止が必至となる。市立病院の再建などありえない。
E 市民家庭はデジタル放送を視聴するために自己負担でアンテナを建てなければならなくなる。山間地やビル影の視聴は難しい。テレビ受信組合方式にすると各家庭で10万円から20万円の初期負担金が発生し、視聴料も上がる。
F 山間地域と市街地の情報と経済格差が拡大する。
G 上野原市の衰退が急激に進行する。

青ビラによると7月が限度のようで、残るは10数日程度となった。上野原市も市民も引き返すことができない時点に到達している。


2007年8月10日:青ビラ派の反対運動の限界

  青ビラ派が仕掛けている反対運動は、2年後の市長選で市長の椅子を奪取するための政治活動である。光事業に照準を当てていますが、青ビラ派の本当のねらいは反市長派勢力の増強にある。

しかし、政治活動に光事業を取り上げたのは大きな誤算で、市民の利益と相反しないテーマを仕掛けるべきであった。
光事業が供用開始となれば、市民は享受するサービスに感激し、反対運動を非難することになる。
光事業が挫折すれば、市民はデジタル放送だけでも家計負担が増えることに気づき、反対運動を非難することになるであろう。TN(つづく)


2008−1−20   谷口ウエノハラ研究室  谷口 文朗TN



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