上野原市民ポータル SPECIAL 谷口文朗の光る街づくり  発信人 連絡先
谷口 ウエノハラ 研究室のHP  上野原光インフラ活用研究会 コミュニティ・バス構造改革特区提案  谷口文朗WEB質問箱
WEB研究室
TOP 第1WEB研究室  第2WEB研究室  第3WEB研究室  第4WEB研究室   第5WEB研究室  第6WEB研究室
 第7WEB研究室   第8WEB研究室
 第9WEB研究室  第10WEB研究室

特集 テーマ  上野原の市民は何を目指すべきか
 序論  社会の動き方・動かし方についての基本的考え方
  第3講 ソーシャル システムの特徴と部分の動き方
  第2講 なぜ「WHAT」でなくて「WHY」が先なのか
  第1講 5W1H のなかの「WHY」=「目的」について考える


 
序論 社会の動き方・動かし方についての基本的考え方
第3講  ソーシャル システムの特徴と部分の動き方

 
   「上野原の市民は何を目指すべきか」について考えるに当たり、「WHAT=具体的目標」の前に「WHY=目的」を確認しなければならないこと、その理由は@私たちはシステムの中で生活している、Aシステムには「全体と全体を構成する部分があり、部分は全体の目的を実現するために与えられた役割を果たす、Bメガネを例にあげると小さなネジ1本でも片時も休まずに黙々と役割を果たし続けていることを書きました。今回は「WHAT=具体的目標」の議論に入る前にソーシャルシステムの特徴と部分の動き方について考えを記します。

システムは @機械(メカニカル)システム、A生体(バイオロジカル)システム、B天体・気象システム、C社会(ソーシャル)システムという4つに分けられますが、社会システム以外のシステムでは全体と部分のつながり方が決まると、突然変異など余程のことがない限り、システムが有効に機能している間は、全体と部分のつながり方が変ることはありません。この点で社会システムは他のシステムとは根本的に異なります。

その昔、地球環境が一変した時に恐竜の社会は壊滅してしまいましたが、私たち人間社会は周囲の状況が変わったからと言って壊滅してしまうわけには行きません。私たちは環境の変化に適応して、否、環境の変化をチャンスと受け止めてこれを克服して生き延びなければならないのです。だからと言って、社会システムの一部分である私たちは環境が変わったことを理由に全体の目的達成のために与えられている個々の役割を勝手に変えることは許されません。部分が勝手な行動をとりはじめると社会システムは壊れてしまいます。社会システムが壊れると社会は無秩序になり、暴動と略奪が発生して「私たちの一番大切な生命と財産の安全」が失われます。私たちは@環境の変化に対応して自らが変らなければならない、Aその一方でシステムを構成する部分として与えられた役割を黙々と果たさなければならないという二律背反の中で生きています。

この二律背反は「目的の有効期限の設定」によって解決されます。今後3年間は私たち社会の個々の部分は「Aを社会の目的とすることに合意して、合意された社会の目的達成のために与えられた役割を黙々と果たす」、そして3年経った時に「Aという目的をA´あるいはAとは異質のBという目的に変更して、社会の新らしい目的を達成するために社会の一部分として与えられた役割を黙々と果たす」という手順で動いて行くことになります(継続的な環境変化に対応して社会をゆるやかに変化させて行く、あるいは、想定外の急激な変化が起こった時に対応しやすいというメリットが認められている「ローリングプランニング」という考え方がありますが、ここでは省略します)。

次に、私たちの一番大切な「生命と財産の安全」と社会システムの関係について記します。私たちの生命と財産の安全は「システムの部分になっている私たち一人一人が拒むことの出来ない命令を出す権利(=権力)を一人の個人または集団に委ねること」によって守られます。わが国では「総理大臣」が、アメリカでは「大統領」が、中国では「国家主席」が「拒むことの出来ない命令を出す権利」を委ねられています。ここで大切なことは、私たちは国政選挙・県政選挙・市政選挙によって「生命と財産を守ってもらう上で必要とされる権力」や「税金の納付とよりよい日常生活のための税金の支出」などの「政」(まつりごと)を委ねる相手を選挙で選べるということです。議院内閣制のわが国は総理大臣の任期は一定しませんが、大統領制のアメリカでは大統領の任期は4年、再選された場合は8年と決まっていて、途中で大統領が辞任しても副大統領が大統領に就任する仕組みになっていますので「社会システムの目的は4年ごとの大統領選挙のマニフェストによって決まる」ことになっています。社会システムの目的はこれまで「選挙綱領」(選挙公約)という言葉で示されてきましたが、昨今は「マニフェスト」と言われるようになりました。システムについて調べた『I.S.E.D.』という英英辞典によりますと「マニフェストとは『まつりごと』に係わる政策(ポリシー)と行動基準(プリンシプル)を個人またはグループが公の場ではっきりと示す」ということになります。

目を上野原に転じましょう。マニフェストは国政選挙ではじめられたことですが、私達に一番身近な市政選挙でも取り入れられるようになりました。先の市議会選挙では「候補者の名前」と「がんばります」というメッセージだけが連呼されましたが、次の市長選挙では、これから向う何年間かの間に私たちの納める税金で「どのように私たちの日常生活をより良くして行くか」、市政を担おうとする複数の個人またはグループから「『風の幸』に恵まれているこの上野原の『まつりごと』の計画・実行・反省(プラン・ドゥー・チェック)をどのように行うか」が示され、私達が投票することになります。

投票によって民意が示された後は、私たちは次の選挙までは社会システムを構成する部分として「小異を捨てて大同に就く」ことが求められることになりますので、『与えられている1票』の重さを再確認しなければなりません。TN

     2007−5−6    谷口ウエノハラ研究室  谷口 文朗


 
 
序論  社会の動き方・動かし方についての基本的考え方
第2講 なぜ「WHAT」でなくて「WHY」が先なのか

 
 「上野原の市民は何を目指すべきか」という上野原インフォメーションが投げかけられた課題について、私の考えを投稿するに当たり、私は「WHAT」より先に「WHY」について私の考えを書きました。その理由は、私たちは「システム」の中で生活しているからです。

「システム」とはどのようなものごとで、どのような考え方なのでしょうか。システムという考え方は機械の専門家が最初に言いはじめたことと思いがちですが、私の知る限り、フォン ベルタランフィーという理論生物学者が提唱したものの見方・考え方です。この学者によると、近代科学は自然(神・仏と言ってもよいでしょうか!?!)が作り出したものごとの成り立ちを明かすために、お猿がラッキョウの皮をむくように、ひとつまたひとつと全体を部分に分解して分子や原子の世界に辿り着きましたが、人間が必要とする自動車や電話など自然が作り出せないものごとを人間が創造しようとした時にどうしても必要なものの見方・考え方であったとされています。「何かを作り出そうとする時に必ず必要とされるものの見方・考え方」がシステムなのです。

それではシステムとはどのようなものごとなのでしょうか。「システム」という言葉はもとは英語ですから「英和辞典」で調べることになりますが、一番わかりやすい英和辞典の説明は「仕組み」ということになるでしょう。それでは「仕組み」とは何でしょうか。日本語なのだから「広辞苑」や「漢和辞典」を調べようということになりますが納得できる説明はありません。このような時に私は「英英辞典」で調べることが自然の筋道であると考えています。

  みなさんは「英英辞典など手元にないし、分るわけがない」と言われるかも知れませんが、わが国では開拓社から『I.S.E.D.』という「英語を話さない人々のために分りやすく書かれている英英辞典」が昭和17年から絶えることなく出版されています。この辞書の1109ページに書かれていることは次の3点です。@システムは多くの部分から成り立っている、Aシステムを形作っている部分の中に一番重要な部分とそれに比べると重要さが低いがなお重要な多くの部分から構成されている、Bそれらの部分は全体の目的を達成するために一斉に与えられた役割を果たしている。

この説明は一般的ですから、メガネを例にとって具体的に述べますと、@メガネはレンズ・フレーム・ツル・ネジ・・・・・で構成されている、A一番重要な部分はレンズであり、レンズに比べると重要度は低いがなお大変重要な部分としてフレーム・ツル・ネジ・・・・・がある、B全体を構成する部分は『視力の調整』というメガネの目的を達成するためにネジ1本に至るまで片時も休むことなく与えられた役割を果たしている(小さなネジがひとつ外れたらメガネは用をなさなくなる!)ということになります。この辞書がすばらしいところは「目的達成のために」ということをしっかりと書き記しているところです。英国で権威があるとされるポケット オックスフォード ディクショナリーという辞書はシステムを「複雑な全体」と説明していますが、これでは何のことかさっぱり分りません。

この辞書がわかりやすいところはすべての説明に具体例を示していることで、システムについてはこのような説明の後に「鉄道システム」と「人体の神経システム」という具体例が示されています。時計や自動車やパソコンなどはすべてシステムですが、人間もシステムなのです。太陽系(ソーラーシステム)や高気圧(ハイプレッシャーシステム)もまたシステムなのです。私たちが生活する社会も「ソーシアルシステム」という言葉で表現されています。「社会は全体の目的を達成するために多くの部分から成り立っていて、多くの部分が目的達成のために協働していること」に気づいていただけると思います。

「WHAT=なに・具体的目標」ではなく「WHY=なぜ・目的」の議論が先というのは、自然が作り出してくれないものごと(この場合は社会)を作ろう、あるいは、今の社会をもっと住みよくしようとする際には、何はさておいても目的をしっかりと確認しておかなければ何も作り出せないということなのです。こうして目的が決まった後は、メガネのネジが片時も休むことなく与えられた役割を果たしているように、私たちは、社会を構成する部分のひとつとして、社会の目的を達成するためにしっかりと役割を果たさなければならないということになります。ここで次の問題が出てきます。システムの目的が一旦決まったら、私たちは一生それに縛られることになるのでしょうか。この点については次回に考えを述べさせて頂きます。

江戸時代ならば「社会の目的などはお上が決めたらよいことで、自分には関係ない」と決め込んでもそれでよかったのでしょうが、今は民主主義の時代です。アブラハムリンカーンが言ったように「住民に関わりのあるものごとを、自分たち住民のために、住民の手でやり遂げる」時代であります。TN

     2007−4−30    谷口ウエノハラ研究室  谷口 文朗

 
 
序論  社会の動き方・動かし方についての基本的考え方
第1講 5W1H のなかの「WHY」=「目的」について考える

   
 
『谷口ウエノハラ研究室』の谷口です。よろしくお願いします。

私は15年前に「郡内」に新設された西東京(現帝京)科学大学「経営工学科」(マネジメントエンジニアリング学科)に着任して、国中の言葉でいう「来たりもの」の立場で上野原について学んできました。
 
 
 
 着任早々、松留の職員宿舎で市民税を払いはじめ、7年前からは学生諸君に半ばおだてられるような形で立ち上げた「有限会社ウエノハラ・パソコン工房」で、赤字なのに年5万円の法人市民税を支払い、5年前からは新町三丁目に上野原の木材で小さなわが家を守屋材木店のみなさんに作ってもらって固定資産税を払っています。

 今年の3月末で大学の勤務を終えて『谷口ウエノハラ研究室』を鶴島の旧バーブレストランではじめました。
@上野原の Quality of Life をよくするための公開研究と Aマネジメントゲームその他6種類の講義を通して、上野原のIndustry Leader の後継者のための教育・研修を行うことが目的です。ただ今現在、2名の方から研修参加の予約を頂いています。
 
     勤務を終えた自由な立場で、これから週に1回のペースで「上野原の市民は何を目指すべきか」という上野原インフォメーションが投げかけられた課題について私の思いを投稿させて頂きます。


 首都圏のアスファルトジャングルで30数年生活してきた私の目から見た結論は『上野原はすばらしい田園都市』(パストラルタウン)ということです。
 このすばらしさは『河岸段丘』が作り出す『風の幸』から生まれています。これまでは「上野原は河岸段丘だから、坂が多く、道は狭く、住みにくいことこの上なし」ということだったのですが、『風の幸』は関東平野の首都圏にはありません。『風の幸』とは「風が通るから花がきれいで、野菜がおいしくて、卵がおいしくて、人々が長生きできていること」と私は思っています。
                                    
 私の孫はスーパーの卵の卵ご飯を食べませんでしたが、「上野原の『安藤鶏卵のこだわり卵』の卵ご飯」を頂くようになりました。
なぜだろうと思って、安藤さんの鶏舎を見学させてもらいました。おどろいたことに鶏舎は芦垣の尾根筋にあり、谷から湧き上がってくる風に恵まれているのでした。
 平坦地の鶏舎では鶏は身動きできない狭い仕切のよどんだ空気の中でたまごを工場生産的に産み落しています。一般の工場生産的卵と「上野原のこだわり卵」の違いを示す科学的データを私はまだ見ていませんが、私は幼少の子供の味覚を信じます。この味覚は首都圏のシェフに高く評価されています。

 『風の幸は長寿の基』というのが私の直感です。平成8年には天皇・皇后両陛下がお出でになった棡原だけでなく上野原ではみなさんが長生きされているではありませんか。
 この環境を守り、この環境を生活の中に取り込んで「『風の幸』の恵みを受けて、穣り豊かに長寿を全うする」ことが上野原の市民の街づくりの目的=「WHY」と言えるでしょう。
 
「上野原の市民は何を目指すべきか」を考える際に「5W・1H」が道筋を示してくれます。「5W・1H」はものごとを根本に立ち返って検討する場合の基本的手法です。
 いうまでもなく『5W』とは、@「WHY」=なぜ・目的、A「WHAT」=なに・具体的目標、B「WHEN」=いつ・実行のタイミング、C「WHO」=だれ・担い手、D「WHERE」=どこ・上野原ということであります。
 

 『1H』は「HOW」=具体的手順・段取りで、これは行政マターです。上野原インフォメーションのこの欄は「何を目指すべきか」=「WHAT」からはじまっていますが、「WHAT」の前に「WHY」についての幅広い意見が出てくることがとくに大切であると私は思っています。
 「WHY」についての私の考えを述べましたが、みなさまがたは「WHY」についてどのように考えておられるでしょうか。上野原インフォメーションのホームページで議論の輪が広がることを期待します。TN

 

 記事の無断掲載・転用を禁じます。Copyright 2007 NPO法人上野原インフォメーション

inserted by FC2 system