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特集 テーマ  上野原の市民は何を目指すべきか


デマンドミニバス 構造改革特区提案

2007年11月2日 国土交通省へWeb提案

 1.  デマンドミニバス導入のための構造改革特区提案書 
 2.
  
添付資料    『赤字バス路線のダイヤ縮小とデマンドミニバスの導入による上野原市における地域交通システムの再構築構想』(案)

ご質問やご意見は、谷口文朗WEB質問箱 までお寄せください。



『デマンドミニバス導入のための特区提案』

実現希望区分:1.特区 をプルダウンメニューから選択

事項名:デマンドミニバスの運行を受託するタクシー事業者に対する道路運送法第4条の許可の免除

求める措置の具体的内容(250字):タクシー事業者が専らデマンドミニバス運行に供する目的をもって乗客定員9名のハイエースタイプの車輌を調達し、運転手を配置してデマンドミニバスの事業者から運行を受託する場合、タクシー事業者に道路運送法第4条の許可を免除する。

 本件においてデマンドミニバスの事業者は上野原市の市民および法人の拠出によって設立される株式会社に上野原市が資本参加する第3セクターとし、事業者は道路運送法第4条の許可を受ける。

具体的事業の実施内容・提案理由(700字):平成14年の道路運送法改正後、上野原市は、赤字の中山間地のバス路線を維持するために、平成15年度以降年間2600万円見当の補助金をバス会社に交付してきた。しかし、平成18年度の赤字6路線1系統の利用者は年間1万人(1日当たり27.4人)で、中山間地の公共交通に『金属疲労にも似た制度疲労』が生じている。このままでは中山間地の公共交通体系が瓦解する。

 この現実を打開するために、黒字3路線のバスと赤字6路線の朝夕の通勤バスダイヤは存続させるが、赤字6路線の昼間のバスをすべて廃止する。その代わりに『乗客定員9人の乗り合いデマンドミニバス』5輌を4地域に新設し、赤字のバス路線から地区集落にまで入って、集落と中心市街地を1日4往復、ドアツードア輸送し、中山間地の市民のための公共交通を確保する。

 そのためには、デマンドミニバス事業者が地域の道路事情を知悉した2種免許を保有する運転手を新規採用することが必須となるが、上野原市内のタクシー事業者5社(1社平均セダンタイプ車輌の保有台数5.2輌)から「運転手つき車輌を1社につき1輌確保し、9:00〜18:59 に運行されるデマンドミニバスの運行を受託する」との提案を受けた。

 この提案を実行する場合、道路運送法は、デマンドミニバスの運行委託者と運行受託者の双方に4条許可を求めているが、「行政が参加する第3セクターが車庫の提供と車輌整備の確認、運転手の始業・終業点呼など安全運行管理に全責任を持つことを条件に、運行を受託するタクシー会社の4条許可取得を免除する」特区を提案する。

プロジェクト名:タクシー事業者によるデマンドミニバスの運行受託

根拠法令:道路運送法

制度の所管省庁:国土交通省

提案分野:プルダウンメニューから選択

提案主体名:『山梨産業情報交流ネットワーク 構造改革特区・地域再生研究会』

         帝京科学大学名誉教授 谷口文朗

提案主体分類コード:プルダウンメニューから選択

提案者連絡先:谷口ウエノハラ研究室 谷口文朗

409-0112上野原市上野原1475−1

e-mail : tanig-ef@io.ocn.ne.jp  tel : 090-1803-6707

公開の可否: 可

その他特記事項:本件特区提案者は平成18年6月に設置された『上野原市地域交通検討委員会』の委員長として事態の打開策の検討に携わり、別添『赤字バス路線のダイヤ縮小とデマンドミニバスの導入による上野原市における地域交通システムの再構築』を取りまとめたが、実行案作成の過程で、地域の弱小タクシー事業者が専らデマンドミニバス運行に供する目的をもって乗客定員9名のハイエースタイプの車輌を各1輌調達し、運転手を付してデマンドミニバスの事業者から運行を受託する場合、既往のタクシー事業に付加される新事業となるが故に、新たに道路運送法第4条の許可を得るに必要な車庫・運転管理者の設置その他の要件を満たさなければならないと考えている。地域の弱小タクシー事業者が1輌のハイエースタイプのデマンドミニバスのためにこの負荷を負うことは事実上不可能であり、地域のタクシー事業者5社による実効性のある提案が実現の道を閉ざされることになる。

 上野原市が本件デマンドミニバス事業に5〜10%を目途に資本参加し、車庫の提供と車輌整備の確認、運転手の始業・終業点呼など法第4条が求める安全運行管理に全責任を持つことを条件に、デマンドミニバスの運行を受託するタクシー会社の4条許可取得を免除する特区が認められることは、中山間地の住民のためのシビルミニマムを確保する行政目的達成に寄与することを提案者は確信するものである。

 提案者はこれまで『山梨産業情報交流ネットワーク 構造改革特区・地域再生研究会』から2件の特区提案を行い、次の回答を得たことを付記する。

  1)平成17年12月9日  国土交通省回答 D 1230580

                  財務省回答    D 0730120

  2)平成18年7月23日  法務省回答    D 0520140

  以上

添付資料:『赤字バス路線のダイヤ縮小とデマンドミニバスの導入による 上野原市における地域交通システムの再構築』 抜粋1部

                          以上






『赤字バス路線のダイヤ縮小とデマンドミニバスの導入による

 上野原市における地域交通システムの再構築構想』(案)

山梨産業情報交流ネットワーク

構造改革特区・地域再生研究会

                     帝京科学大学名誉教授

谷口文朗

1.はじめに

 上野原市の道路は中山間地だけでなく中心市街地においても河岸段丘特有の高低差が激しく、坂の上り下りと急なカーブが多い。JR上野原駅は、養蚕が上野原市の基幹産業であった時代に、機関車の煤煙が桑の葉に付着してはならないという理由で市の中心市街地から75メートル低い地点に設置された。駅と中心市街地の高低差は19〜23の高層ビルに匹敵する。桂川沿いの県道とJR上野原駅の標高差も20メートルで、4〜5階のビルと同じである。

 中山間地の状況はさらに厳しい。バス路線となっているJR上野原駅から終点までの20キロメートルに及ぶ県道に面した集落はむしろ少なく、多くの集落は県道のバス停から坂道を奥に入り込んだところに散在している。

 この高低差のハンディキャップを負う地域において、上野原市は平成14年2月の道路運送法改正以降毎年約2,600万円の補助金をバス会社に支出し、大田上・犬目・飯尾・井戸・不老下・無生野の各地区とJR上野原駅を結ぶ赤字の遠隔地バス6路線を維持したが、平成16年1月に棡原地区の赤字バス路線の1つである日原路線が廃止された。

 多額の補助金の支出にもかかわらず、これらの路線を日中に走るバスの乗客は少なく、『バスが空気を運び、税金が排気ガスとなって雲散霧消する』現実が生まれている。この事実を打開するために、上野原市は平成18年6月2日に『上野原市地域交通検討委員会』を設置し、「上野原市における生活バス路線を中心とした今後の地域交通のあり方」の検討に着手した。

2.上野原市の公共交通の現況

 上野原市内の公共交通は、鉄道(JR東日本)、バス(富士急行バス梶jおよびタクシー5社により成り立っている(上野原タクシー、駅前タクシー、四方津交通、島田交通、東亜タクシー5社の運行台数は26台、セダンタイプ車輌の1社平均保有台数5.2台)。

 市内のバス路線は、現在、16路線42系統である。このうち@中心市街地と駅、A帝京科学大学と駅、B日大明誠高校と駅を結ぶ3路線は黒字であるが、中山間地と駅を結ぶ6路線28系統はすべて赤字である。

 平成18年度の赤字路線の年間延べ利用者数は285,000人、1系統1日当たり利用者数は27.9人である。1系統1日5往復とすると、1車輌当たり乗客数はその10分の1の2.8人である。採算が保てる筈がない数字である。

区  分

赤字系統数

延べ利用者数

系統当たりの利用者数

平成13年度

32

352,000人

11,000人(30.1人/日)

平成14年度

32

345,000人

10,781人(29.5人/日)

平成15年度

30

335,000人

11,167人(30.6人/日)

平成16年度

28

278,000人

9,929人(27.2人/日)

平成17年度

27

271,000人

10,037人(27.4人/日)

平成18年度

28

285,000人

10,178人(27.9人/日)

*平成13年度から平成16年度までは、旧上野原町と旧秋山村の利用者数を合計している。

3.遠隔地赤字路線の日中ダイヤ廃止とデマンドミニバスの導入

委員会は「利用者が集中する通勤・通学時の交通大動脈と利用者がまばらな日中における交通小動脈は『業態』が違う。大動脈は路線バスに依存しなければならないが小動脈はデマンドミニバスが必要である」との考えに立って以下の結論に達した。

黒字バス3路線(駅⇔新井・駅⇔帝京科学大学・駅⇔日大明誠高校)は、現状運行を維持することを基本とする。
A 赤字6路線は朝夕の通勤通学のために1日1〜3往復運行する。
B 日中の遠隔地赤字6路線のダイヤは廃止し、代わりに現行バス路線から地区集落にまで入って、それぞれの地区と中心市街地を1日4〜5往復する『乗客定員9人の乗り合いデマンドミニバス』を導入する。

4.アンケートに基づく需要見通し

 委員会では、本年3月に中心市街地を除く中山間地で、住民基本台帳からコンピューターによって無作為抽出した16歳以上の市民2,000人を対象に、日常の交通機関の利用状況と今後の公共交通について、調査を行うと同時に回答データに基づき需要見通しを行なった(有効回収数847通、回収率は42.4%)。   

 需要見通しの結果は次の通りである。

  デマンドミニバス1日当たり乗客数見込み         

                     15歳以上人口   配布  回収    週日   週末                 

   第1地域(西原・棡原)   1277          367    163    82.8     51.7  

   第2地域(甲東・大鶴)   1089          361    158    90.7     65.0  

   第3地域(大目・巌・コモア)1070        764    321   194.9     145.0

   第4地域(秋山・無生野)  2209        508     200   128.7    102.1 

 デマンドミニバス1日4往復のすべての座席が予約で満員(乗車率100%)の場合、1日の最大乗客数は片道9人× 2×4便=72人であり、ウイークデーについては4地域とも最大乗客数を越えている。

 全便満席の場合、平均運賃を400円と想定すると年間運賃収入は1050万円、年間コストを800万円と想定しているので、250万円の利益が見込まれるというのが需要見通しに基づく収支見通しの結論である。

 第3地域は週日・週末ともに、スタート当初から2台でも全便満席という見通しをコンピューターは打ち出している。

 ウイークエンドのデータについては、第1地域の51.7人は乗車率71.8%で、収支トントンが実現可能な水準である。第2地域は65.0人で収支トントン、第3地域は145.0人、第4地域は102.1人でウイークエンドでも満席が起こり得る。

〔注〕アンケート結果と需要見通しの手順については『上野原インフォメーションHP』掲載の『谷口文朗の街づくり提案』第5WEB研究室『デマンドミニバスのための浄財を求める』を参照頂きたい。

5.デマンドミニバスの概要

1)輸送態様:黒字バス3路線を徒歩で利用できない地域で、日中の生活時間帯に、ワンボックスロングタイプの車輌で、タクシーが走行する道路でバス路線から地区集落に入って、最寄りの乗車地点から降車地点までをドアツードア輸送する(これによって乗客は居住集落からバス停までの坂道を往復する必要がなくなるが、ワンボックスロングタイプの車輌のためタクシーよりそう広範囲が限定される。なお、デマンドミニバスは介護タクシーとは棲み分け、要介護者は介助者と同乗することとする)。

         上野原市概略図とデマンドミニバス運行地域


2)事前予約:利用希望者は電話で乗車日時、乗車場所、乗降場所を乗車前日までに事業者に事前予約する。当日の予約は、空席がある場合に受付ける(当初は、予約の順番を確定するために電話予約のみとする)。

3)運行ダイヤ:デマンドミニバスを利用する場合は、居住地域で乗車し、『時間にゆとりを持たせたダイヤ』で中心市街地に到着し、交通に障害を及ぼさない場所で降車する(急ぎの場合は、タクシー及び自家用車あるいは自家用車便乗とする)。

4)運行時間:デマンドミニバスの運行時間は、9時始発、18時59分終了で、1日4〜5回往復運転する。

5)配車地域:デマンドミニバスは、遠隔地4地域に1台ずつ配車する(中心市街地にはデマンドミニバスを配車しない)。

6)運賃:デマンドミニバスの運賃は同一地域内均一運賃で200円、中心市街地までの運賃は、遠隔地はバス運賃より安い500円とし、中心市街地に隣接する地域はバス運賃同等ないし若干高く300円に設定する。

〔注〕運賃は遠距離区間で最高500円で、現行バス運賃最高額950円より最大46%見当割安、中心市街地に隣接している地域は300円で、現行バス運賃最高額180円より逆に最高67%見当割高に設定する案を検討している。遠隔地については上野原市の中心市街地を往復する料金が上野原市から新宿を往復するJR運賃に等しいという現実は生活感覚から尋常ではないとの観点である。逆に割高になるケースについてはドアツードアという質の向上が伴うことを評価に入れている。

    7)中心市街地での乗降ルール

降車:インターチェンジ周辺と新田郵便局の間の県道・市道ならびに上野原駅入口の信号から駅の北口までの区間を除く中心市街地では、任意の地点での降車ができることとする。

乗車:中心市街地での乗車は、指定された乗車地点とする。

上野原駅へのアクセス:日中のJR上野原駅への往路は中心市街地でデマンドミニバスからバスに乗り継ぎ、帰路は上野原駅から中心市街地の乗車地点までバスを利用し、そこからデマンドミニバスに乗り継ぐ(このルールは、デマンドミニバスがバスの乗客を奪い、結果としてバスの赤字補助が続くことを避けるために乗客にも若干の不便を許容願うものである)。

6.デマンドミニバスの事業主体

1)法人格:市民・法人企業の出資を得てデマンドミニバス株式会社を立ち上げ、市が5〜10%資本参加する。事業資金は1車輌当たり800万円、5車輌合計4000万円を想定している。

2)運行車輌:市内タクシー事業者5社が専らデマンドミニバスの運行を行う目的でワンボックスタイプの車輌と運転手を各1台ずつ確保し、事業主体から運行を受託する。

3)市の出資目的:市に求める出資の目的は資金の不足を補うためではなく、市内タクシー事業者5社が運行受託する車輌の車庫スペースの提供、車輌の整備状況確認、運転手の始業・終業点呼など安全運転管理を適時・的確に行い、本件特区申請を担保するためである。

7.デマンドミニバスの実施時期

 赤字バス路線維持費補助金は、10月から翌年9月までの1事業年度を対象に支出されている。そのため、実施時期は、この事業年度の開始時期である10月とすることが分りやすい。しかし、アンケートに寄せられた民意に応えるには可能な限り早いタイミングで実施することが望ましい。そのために本格実施に先行するタイミングで実証運行を行なって採算性や運用上の改善点を見極める必要がある。

 実証運行については、直線的な運行となる第1地域(西原・棡原ほか)及び第4地域(秋山ほか)を先行し、続けて平面的な運行を視野に入れる第2地域(甲東・鶴川ほか)及び第3地域(大目・巌ほか)で実施する。

8.補足説明事項

 デマンドミニバス事業者がタクシー事業者に運行を委託するのが合理的と考える理由は次の通りである。

@    配車地域4地域に対してタクシー5社がデマンドミニバスを各1輌、合計5輌が準備されることになっているが、1輌は車検・故障修理などの際のバックアップと繁忙地域での複数配置を想定している。

A    デマンドミニバス事業者がタクシー事業者から車輌と運転手を借り上げる形態を採用することなく、運行を委託する方式を取っているのは、日常的な運転手のローテーションと出勤簿などの勤務管理・給与計算などの管理事務をタクシー事業者に委ねることが賢明と考えているためである。

                             以上


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